2019年冬アニメシーズンはギスギスして嫌な気分になった。
「けものフレンズ2」vs「ケムリクサ」という因縁の対決のおかげで険悪なムードが流れ、他のアニメも出だしは悪かった。しかも予定を繰り上げて、「ケムリクサ」に「けものフレンズ2」が自爆攻撃を仕掛けたためだと聞き、TV東京の責任者に呆れ果てた。お前らが、アマゾンプライムに勝てるわけは無い。
アニメをこんな風に作っている連中が権力をいまだに握っていることを知り、日本アニメが中国の軍門に降る日も近いと直感した。
それでも最後は「ケムリクサ」が鮮やかな逆転勝ちを見せて、一方「けものフレンズ2」は袋だたきに会うという結末を見た。立ち上がりの悪かった他のアニメも終わったときはまずまずの結果だった。
第1位「ケムリクサ」(ヤオヨロズ制作)
点数的に前半は前期から続く箱根駅伝アニメ「風強」が圧倒的にリードしていたが、第8話になって日清食品がバック(広告)に付いた「ケムリクサ」が激しく追い込み、逆転勝ちとなった。
前半に伏線を蒔くだけ蒔いて、最後に帳尻を合わせる当たりは流石である。
第2位 「風が強く吹いている」(Production IG制作)
前期に続いて良い形でリスタートを切れた「風強」が伸びきれなかったのは、脚本家喜安浩平(日本アカデミー脚本賞)が野暮な感動ドラマにしたくなかったのだろう。
第3位 荒野のコトブキ飛行隊 (デジタル・フロンティア制作)
もとは2015年冬アニメ「SHIROBAKO」の劇中劇「第三少女飛行隊」から始まった企画だ。CGが安くて、やや低空飛行でスタートしたが、水島努監督が最後に3位に持ってきた。横手美智子の脚本は全く良くなかった。安易に若手声優を主演で使ったのも裏目に出たか。「第三少女飛行隊」のときの主演級声優は、中堅揃いだった。
これはヘッドホンを使い、レシプロ機の轟音を楽しむべきアニメなのだが、後半は視聴率ほしさのため、次第にBGMの方がうるさくなって、本末転倒になってしまった。
以上が今期の優秀作品である。
次に佳作を紹介する。
ドメスティックな彼女 (ディオメディア)
姉妹に愛された男子高校生のハーレムアニメである。終わりそうで終わらなくて好きだった瀬尾公治アニメは「風夏」の大失敗で終わったようだが、女性マンガ家流石景をこれからは売り出すつもりのようだ。
かぐや様は告らせたい (A-1)
第3話と10話だけ盛り上がった。期待されたアニメだったが、藤原書記(CV小原好美)の演技力があまりに凄すぎて、他の主役級の存在がかすんでしまった。さらにナレーターも下手だった。声優にコストを掛け、演技力の質を揃えるべきだ。
監督賞 たつき (ケムリクサ)
彼の圧倒的な力を見せつけられた。ぜひ大資本のもとで劇場版にチャレンジしてほしい。追い込まれて、やれば出来る子だ。