これからしばらくNiftyの記事を元にして、1997年桜花賞を回顧しよう。
☆当時の桜花賞に出走するためには・・・
桜花賞は阪神競馬場芝1600mで行われる内国産限定18頭立てのレースであった.
(現在とはコース形態が異なる。)
当時のトライアルレースは,チューリップ賞(阪神),報知杯四歳牝馬特別(阪神),アネモネS(2000年から中山開催)の三つだ.
これらで上位に入着すれば,優先出走権を得ることができる.
他にオープン(重賞含む)競走の勝馬や重賞二着馬などもほぼ出走可能である.
トライアルで優先出走権を得られなかった,二勝馬あるいは一勝馬は、抽選によって選ばれない限り出走することは叶わない。
しかし,抽選により出走権を得た幸運な馬が,本番で比較的多数、連対している。
無理にステップレースを使って、クラシック出走権を得ても、その反動で本番に結果を残せないぐらいならば、ステップレースなど使わない方が良いと言う考えが各陣営にある。
したがって、抽選で出走権を得た馬もしっかりと追ってくれば、狙って良い。
☆レースの性質について...
4才牝馬によるマイル戦.スピード(先行力)だけでは勝ちきれない.
(現在よりはスピード優先だったかも知れない。)
最後の直線での根性比べがある.
なかなか並んでの叩き合いというのは少ないが,89年のシャダイカグラとホクトビーナスの逆転劇や,93年のベガとユキノビジンの接戦など楽しめるレースも多い.
92年から坂が出来たため,直線での瞬発力タイプが台頭してきたようだ。
☆過去の傾向
○96年
阪神 良馬場 スローな展開
1着 ファイトガリバー 2枠からイン後方で折り合い、直線内から外へ出して、鋭く差しきり
ペースが落ち着き,前半での折り合いと決め手勝負となった.
前哨戦のアネモネSで人気になりながら、道悪のため惨敗していた。
ここでは人気が無く,父ダイナガリバーということもあって,多くの人はノーマークだった.
この後は樫で殿一気の2着を得るが、その後はさっぱり。
2着 イブキパーシブ 7枠好位から四角先頭も一息
クイーンカップ勝利後,一息入っていて,南井騎手もテン乗りと不利が重なっている.
レースではペースが遅く,枠順の不利を吹き飛ばしたが,ゴール前の踏ん張りが利かなかった.
○95年
稍重 阪神大震災のため京都競馬場で開催
1着 ワンダーパヒューム 外漸進伸
前哨戦アネモネSで、逃げるヤングエブロスを直線単騎で追いかけ二着.
着差があったため,本番での人気は下がったが,あの脚は牝馬とは思えない地脚だった。
レースでは、京都マイルで道悪の外枠有利を生かして,捲り気味に上がり,
最後はダンスパートナーの追込を押さえ込んだ.
瞬発力というより長く良い脚を使うタイプ。
2着 ダンスパートナー 外追込届かず
前年ダービー2着のエアダブリンの下ということで早くから人気になるが、勝ちきれないレースが続く。
出が悪く,チューリップ賞でユウキビバーチェに届かず二着だったが,本番でも再び出足が悪く勝ちきれなかった.
しかし,どんな相手に対しても二着を取ってくる辺り,底を見せていない感じはあった.
4着 ライデンリーダー 安藤克巳(当時笠松在籍)騎乗
中団ジリジリとしか伸びず本来有利な筈の内枠を引いたのだが、阪神大震災のため今年は京都施行であった。
案の定、外に持ち出すチャンスがなく、内でずるずる下げる流れ。
直線で何とかこじ開けて出てくるが、時既に遅し。
94年
良馬場 阪神
1着 オグリローマン 内から直線中一気
前前走のエルフィンS(阪神)で好位を追走しながらも、直線ずるずると下がり、ローブモンタントに惨敗した.
また田原に乗り変わった,チューリップ賞(中京)では追い込んでアグネスパレードの二着.
当てにしずらく,1枠ということもあって,人気を少し落とすかと思われたが、武騎乗もあり、三番人気。
正直言って、これはオグリ人気であり、割に合わないという気持ちで見ていた。
しかし、道中インのポケットで折り合いを付けて,直線だけ外へ出して,先行粘るツインクルブライドを一瞬にして差しきった.
折り合いが全てだった.
2着 ツインクルブライド 好位粘り込み
桜花賞トライアルでは人気になりながら,ゴール前一息だったが,本番ではあわやの粘り腰.
このぐらいの距離がぴったりだったようだ.展開的にも緩やかで向いていた.
3着 ローブモンタント 中団一息
阪神三歳牝馬Sを休み明けわずか二戦目でヒシアマゾンの二着.
田原騎乗でエルフィンSも完勝して,一躍大本命に推される.
横綱相撲をする羽目に陥ったが,ペースが緩く,自分から動いた分,ジリになってしまった.
○93年 阪神良馬場
1着 ベガ 先行伸
チューリップ賞を完勝して、絶対の一番人気。
それを敢えて先行して、力ずくで押し切ってしまった。
スタミナのある勝ち方だったが、この辺りがオークスへとつながる。
2着 ユキノビジン 内から直線伸びる
中山のクロッカスSで牡馬相手にぶっちぎる。
サクラユタカオーのマッチョな牝馬で、パドックで見た途端、この馬は来ると確信した。
3着 マックスジョリー
マックスビューティーの娘。
府中のサフラン賞で完勝し、クラシックロードへ。
しかし、前走ヤマヒサローレルの逃げ足に屈し、瞬発力に疑問符。
○92年
時計のかかる新阪神競馬場で良馬場
1着 ニシノフラワー 直線伸
三歳時は重賞三連勝で最優秀三歳牝馬。
しかしまさかの前走チューリップ賞を敗戦で鞍上河内に乗り変わり。
ここはまったく危なげなく中団好位から抜け出し、完勝。
2着 アドラーブル 捲り外伸び
ニシノフラワーをマークでコーナーから早めに捲り始めるが、最後まで届かず。
村本は仕掛けが早かったと悔やむ。
これがオークスにつながる。
○91年
良 阪神改装で京都開催
1着 シスタートウショウ 外伸
無傷の連勝馬同士の対決となったが、
勝ったのは、もっとも人気のなかった、トウショウボーイ産駒だった。
外枠からじわじわと捲り、直線で先頭に躍り出るとそのまま押し切った。
2着 ヤマノカサブランカ 直線内伸び
人気薄も桜花賞を得意とする善臣がインに入れて、直線するすると差し込む。
大穴万馬券。
3着 ノーザンドライバー 直線外伸び
シスタートウショウのステープルメイト。
陣営も牡馬相手にデイリー杯を勝っているだけに、実力はこちらと思っていただろうが、
道中シスターの強烈な捲りにおつきあいした分、ゴール前で止まってしまった。
4着 スカーレットブーケ
クイーンカップを勝っていて、決して弱いわけではない。
しかし武騎乗も、この馬、どうも右回りになると、力を発揮しきれないようだ。
5着 イソノルーブル 逃げ一杯
レース前に落鉄が判明。早速鉄を打とうとするが、気が強く打たせない。
しかたがなく落鉄のまま、走らせた。このことが後で話題となる。
しかし、オークスで誰も競り掛けなかったのは、サークル内にも同情論が多かったのではないか?
(つづく)
永遠のセルマ・リッター
映画を中心に趣味を語り尽くします!