第二次世界大戦中の実話をもとに、ミハイル・ドウジンセルゲイ・オルロフが共同脚本を書き、ニキータ・クリーヒンレオニード・メナケルが共同監督した戦争映画
出演はヴァチェスラフ・グレンコフゲンナジー・ユフチン、新人ワレリー・ポゴレリツェフほか。
1965年度カンヌ国際映画祭参加作品。白黒シネスコ作品。

あらすじ

第二次世界大戦で既に独ソ戦も始まった1942年、ドイツ東部のナチス捕虜収容所では、新たな対戦車砲の野外実験が行われて、拿捕して弾丸を抜いたソ連戦車T34と捕虜を的に使って殺戮を繰り返していた。
ある日、戦車T34にイヴァン、ピョートル、アリョーシャらのソ連軍捕虜と自由フランス軍捕虜一名が搭乗した。ナチスの対戦車砲が火を吹き、彼らの乗ったT34に命中する。T34は黒煙を吐いて停車する。ナチス将校らが、検分しようと近づいた時、T34は突然走りだした。死んだふりをしただけで、損傷はなかったのだ。脱走したT34は快速を生かして、街を通り、森林をぬけ、チェコ方面を目指した。途中の農園でロシアから連れ去られた若い女性が援軍が来たと勘違いするが、彼女らを置き去りにしてT34は逃げた。若いアリョーシャは自分たちだけ逃げることに呵責の念を持った。そこでピョートルとアリョーシャは徒歩でチェコを目指し、イヴァンと肺病持ちのフランス兵がT34で最後のひと暴れをするため、一旦二手に分かれる。
ナチスの猟犬は彼らの匂いを覚えて追いかけて来た。再び集合した四人は近くの村に現れ、名産品のビールを奪って逃げる。それを飲んで一息つくが、燃料が尽きそうだ。まずフランス兵が敵の攻撃に倒れる。ピョートルとアリョーシャは下車して銃撃するがアリョーシャは撃たれ、ピョートルは小屋ごと爆撃されて二人とも死ぬ。イヴァンは戦車を疾駆させて敵陣突破を図る。その時ドイツ人の子供が、戦車の前で倒れる。イヴァンとドイツ兵は一瞬見合ってしまうが、イヴァンが少年を助けようとして戦車から下りた所を射殺される。イヴァンを見守るように雲雀が飛んでいた。

雑感

原題は「雲雀(ひばり)」という意味で、米国でも「The Lark」と呼ばれている。
何故か監督も脚本も撮影も全て二人ずついる。撮影後もラストの撮り直しがあったのだろうか。
監督のアイデアもあるだろうが、白黒撮影のテクニックはソ連らしく素晴らしい独特なものだった。
主演のイヴァン役ヴァチェスラフ・グレンコフのワイルドな顔つきが印象深い。狂気を持っているようでラストに子供を助けるあたりは、グッとくるものがある。
しかし映画「大脱走」に対抗した作品ならば、ソ連の意地を見せて「戦争と平和」のようにカラー映画にしてほしかった。

スタッフ

監督 ニキータ・クリーヒン 、 レオニード・メナケル
脚本 ミハイル・ドウジン 、 セルゲイ・オルロフ
撮影 ウラジミール・カラセフ 、 ニコライ・ジーリン

キャスト

イヴァン  ヴァチェスラフ・グレンコフ
ピョートル  ゲンナジー・ユフチン
アリョーシャ   ワレリー・ポゴレリツェフ
フランス人   ヴァレンチン・スカルム

 

 

 

鬼戦車T-34 Жаворонок 1965 ソ連製作 東京第一フィルム国内配給

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