東北の四季を、軍馬を育てる娘の目を通して描いている。
高峰の成長に合わせて一年間のリアルタイムで撮った作品。
監督に昇格する以前の黒澤明が助監督を務めていて、高峰秀子の初恋だったらしい。
果たして高峰の言うような両思いだったかどうかは疑わしいが。
女学校に通ういね(高峰)は秋の馬市で馬に魅了される。
しかしいねの家族は馬で過去に失敗したため、いねの意見に取り合わない。
そんなある日、組合長から馬を預託されてくれないかと依頼される。
妊娠している牝馬で、最初の仔馬はもらえるという条件だった。
あまりの好条件に家族はついに引き受けることになり、いねは大喜びだ。
けれどもこれからまた苦労が続くことになる。
時のアイドル高峰秀子の初々しい魅力たっぷりの作品(アメリカ開戦間際は、これが限界だっただろう)。
単なるアイドル映画でもなく、国威高揚映画でもなく、純粋なドキュメンタリータッチの作品として作り上げられた。これも陸軍の後ろ盾があったからこそできたのだ。
ちなみに「ハイドハイドウ丘の道」で有名な大ヒット曲「めんこい仔馬」(サトウハチロー作詞、二葉あき子・高橋祐子歌)は、この映画のために作られた。
しかし監督が挿入歌として使わなかったため、イメージソングのような扱いになった。
監督・脚本 山本嘉次郎
助監督 黒沢明
出演
高峰秀子
藤原鶏太(釜足)
竹久千恵子
高峰秀子の馬 1941 東宝