主人公はエドワード・ロビンソン扮する大学の助教授ウォンリー。
帰途、ふと見るとその肖像画が飾ってあった。
ところが血相を変えた女の情夫が突然襲いかかってくる。
正当防衛を証明することはできそうだが、
翌日には財界の大物が消えたと大騒ぎになり、
一方、女の方も情夫のボディガードが金銭を要求してくる。
するとウォンリーは急に起こされる。そこはクラブの一室だった。
ウォンリーはホッとして帰路につく。ふと気づくと、
当時は夢落ちに対して肝要だったのだろう。今では、ラストにがっかりする人の方が多い。
それは置いても、フリッツ・ラング監督の途中までのサスペンスの盛り上げ方はさすがだ。
最後も同監督ならば別のラストを考えていたのではなかったか。
エドワード・ロビンソンの演技は見事だ。いつもの凄みは消え失せて、気の弱い助教授役を好演。
ジョーン・ベネットは「若草物語」(1933)のエイミー役でブレイクしてスターになった。1941年のフリッツ・ラング監督作「マンハント」でナチスから主人公を救うヒロインを演じて、ラング作品への出演が多くなる。当時はファムファタールを演じて役の幅を広げていた。後に同じエイミー役を演じたエリザベス・テイラーの母の役を演じて「花嫁の父」に出演した。
この作品は「マルタの鷹」「ローラ殺人事件」と並んで、戦後いち早くアメリカの暗黒映画(フィルム・ノワール)として紹介された。
監督 フリッツ・ラング
製作 ナナリー・ジョンソン
原作 J・H・ウォリス
脚色 ナナリー・ジョンソン
撮影 ミルトン・クラスナー
配役
ウォンリー: エドワード・G・ロビンソン
肖像画の女: ジョーン・ベネット
地方検事: レイモンド・マッセイ
ボディガード: ダン・デュリエ
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