源氏鶏太の原作を白坂依志雄が脚色し、増村保造が第二回作品として監督した作品。初主演作で「十代の性典」を演じて以来、性典女優のレッテルが貼られた若尾文子を清純派として再生させた作品でもある。
共演は川崎敬三、菅原謙次、沢村貞子、穂高のり子。空の青さを美しく見せるシーンが重要な意味を持つため、天然色映画である。

あらすじ

伊豆の高校を卒業した小野有子は東京の父母の許に帰ることになった。卒業式が終わると小さい頃から育てられた乳母が倒れた。そして有子に継母であって、実母は他所にいることを教えられる。美術教師二見は東京に行っても青空のように明るくと慰められる。

東京の小野家へ行くと、有子は女中扱いされた。父は優しいが養子なので母に頭が上がらない。次男の中学生弘志とだけは仲良くなった。しかし有子は長女照子のBF広岡から好意を持たれたので照子のいじめは激しくなった。
ある日、父から実母のことを聞いた有子は何とかして探したいと思うようになった。ちょうど二見が上京したので家を飛び出した。
二見の部屋に行くと、隣の住人で二見の恋人と名乗る女に追いた出される。伊豆に帰った有子は、実母が訪ねてきたが直前に帰っていた。友人信子からクラブをやっている叔母を紹介され、有子は再び上京してキッチンの仕事で働くことになった。
広岡や二見のおかげで有子は実母町子に会うことが出来た。ちょうどその時、父が病床にあることが知らされる。
有子は小野家を訪れた。具合の良くなった父の前で、私の母と別れたくせに今の家族も愛するのができないのは全て父の責任と言って、親子の縁を切った。ひそかに有子の面影を愛していた二見も有子と広岡の将来を祝福してあげた。

 

雑感

現代風シンデレラ・ストーリーだ。
原作通りだろうが、増村監督は最後はうまくハッピーエンドでまとめている。気の強そうな若尾文子の魅力を上手に増村保造が引き出した名作だ。見た観客の気持ちにも青空が現れただろう。

田宮二郎叶順子が台詞のあるモブで出演している。田宮二郎はまだ大したことないが、叶順子は後のアンニュイなイメージと違い、コメディエンヌにもなれたのではないかと思うような三枚目だった。これが出来るのなら「細雪」に抜擢されるのもわかる。

スタッフ

製作 永田雅一
企画 藤井浩明
原作 源氏鶏太
脚色 白坂依志夫
監督 増村保造
撮影 高橋通夫
音楽 小杉太一郎

キャスト

小野有子 若尾文子
恩師二見桂吉 菅原謙二
BF広岡良輔 川崎敬三
広岡静江  東山千栄子
実父小野栄一 信欣三
正妻小野達子 沢村貞子
義姉小野照子 穂高のり子
義兄小野正治 品川隆二
義弟小野弘志 岩垂幸彦(子役)
実母三村町子 三宅邦子
女中頭八重  ミヤコ蝶々
御用聞き哲五郎 南都雄二
友人米川信子 八潮悠子
友人津村順子 藤田佳子
友人稲川育子 矢島ひろ子
竹中 田宮二郎
照子の取り巻き 叶順子
有子の祖母  滝花久子
信子の叔母  清川玉枝
狂った学生 藤山浩一

青空娘 1957 大映東京製作 大映配給

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