めずらしい大映オールスター映画。
1963年の作品だが、大御所総出演である。
原作の6回目の映画化。
第一回作品に主演した長谷川一夫が映画出演300作を記念してリメイクした。
長崎の大店の息子雪太郎は時の長崎奉行土部三斉、広海屋、川口屋の陰謀にかかり、父母を失い旅芸人の一座に拾われる。
大阪で頭角を現した女形雪乃丞は武芸と学問に親しみ、天保年間に江戸へ進出する。
江戸には出世を遂げた土部三斉がいた。
雪乃丞は義賊闇太郎の支援を受けて、土塀一族に復讐を遂げる。
山本富士子が、いなせな盗賊お初を演じていて、素晴らしい。
大阪人とは思えない、気っぷの良さに惚れ直した。
映画「細雪」の「雪子」よりずっと良い。
また先代市川中車を初めて見た。
初代猿之助の次男。
今の四代目猿之助の曽祖父の弟である。
今の中車(香川照之)よりすらっとタテに伸びたいい男だった。
長谷川一夫は二代目雁治郎の父初代雁治郎の弟子である。
はじめは師の命令を受け松竹映画に出演していたが、師の死後東宝に移って、刃傷事件が起きる。
原作はジョンストン・マッカレーの「双生児の復讐」を翻案した三上於菟吉の新聞小説「雪乃丞変化」。
のちの変身ヒーローものの先駆けでもあった。
監督: 市川崑
脚色: 伊藤大輔、衣笠貞之助
脚本:和田夏十
音楽: 芥川也寸志、八木正生
出演
長谷川一夫
山本富士子
若尾文子
二代目中村雁治郎
八代目市川中車
勝新太郎
市川雷蔵
船越英二
林成年
柳 永二郎
伊逹三郎
大辻伺郎
雪乃丞変化 1963 大映