(☆)読売新聞に連載された有吉佐和子の原作小説を白坂依志夫が脚色、井上梅次が監督した文芸映画。
カラー映画で、撮影は中川芳久。
主演トリオは、若尾文子、野添ひとみ、江波杏子。共演は川口浩、川崎敬三、竹村洋介、大木実。
同時上映は「座頭市物語」。
雑感
若尾文子、野添ひとみ、江波杏子のデパートガール物語。とくに閉店後のそれぞれの生き方を描いている。
最後に三人の内、二人が幸せになり一人が男と別れるというのは、お決まりのパターンだ。
この頃の若尾文子は、29歳になり若く溌剌としたキャラクターを演ずるのは難しくなってきたと思う。
相手役の川口浩は、26歳になり野添ひとみと結婚してるのに、大学新卒者というのも無理がある。
しかし、新人の姿美千子や高田美和をOL役に起用するにはまだ幼すぎた。
井上梅次監督も若い娘が特に好きという感じもなかったし。
ちょうど大映女優陣の端境期だったのだろう。
キャスト
若尾文子 呉服売り場・松野紀美子
野添ひとみ 食品売り場・藤田節子
江波杏子 エレベーターガール・牧サユリ
川口浩 呉服売り場の新人・生方誠
竹村洋介 食品売り場の出入り業者・竹井安雄
川崎敬三 ファッション広告部嘱託・畠英也
大木実 声優兼朗読講師・鶴岡
潮万太郎 呉服売り場の森川課長
村上不二夫 食品売り場主任の中山
中条静夫 呉服売り場・荒木
八潮悠子 鶴岡の妻・美千代
若松和子 「とと」のマダム
松本幹二 ケイ坊
早川雄三 食料品売り場で怒る客
目黒幸子 万引き客
横山明 ナンパする不良A
丸井太郎 不良B
伊達正 お上りさん老夫婦
橘喜久子 お上りさん老夫婦
スタッフ
企画 藤井浩明
原作 有吉佐和子
脚色 白坂依志夫
監督 井上梅次
撮影 中川芳久
音楽 中村八大
主題歌 ペギー葉山「恋を探している私」
協力 横浜高島屋
あらすじ
紀美子、節子と一つ違いのサユリは、高校の同窓から同じデパートに入社した。紀美子は呉服売場、節子は食料品売場そしてサユリはエレベーターガールになり、互いに休憩時間を利用しては近況を情報交換していた。
気の強い紀美子は男女平等主義者である。大学卒の新入社員生方誠が女性を下に見る態度が許せない。紀美子は生方に対立するが、いつか生方は万引き現行犯に対する紀美子の機転を見て、紀美子に興味を持つ。
節子は家庭的な女性である。職場で食品会社から派遣されている竹井と知り合う。竹井を節子は愛するようになった。中山主任は、デパートガールと出入り業者が身分違いだと言って好ましく思わなかった。ついに主任は竹井の喧嘩して、出禁にする。節子は、深い憤りを感じた。
エレベーター係のサユリは恋愛を自由に楽しむ主義、閉店時間になると派手な化粧をして夜の街へとび出すのだ。そのうち彼女は宣伝部の畠と知り合った。サユリは、妻子のいる畠とアバンチュールを楽しんでいた・・・。
突然、畠は姿を消した。何でも広告代理店にヘッドハントされたと言う。同僚からあれこれと言われたサユリはデパートを辞めて、知り合いのマダムのいるバーに移った。
節子は、竹井から連絡を受けて再会する。二人が食事をしていると、その店に中山が入ってくる。中山は上司から苛められることを友人に愚痴っていた。
また、紀美子と生方はけんかしながらも相手の良さを知るようになり、売場主任の仲人で結婚することになった。あわただしい閉店時間、彼女たちはそれぞれの生活へと解放されて散っていくのだ。