初めて見た能登半島。
そのなにか悲しすぎるほど、寂しい風景は私にはあまりにも印象的だった。
松本清張の女性心理小説を映画化した作品。
後半30分以上にわたる断崖絶壁のシーンは、推理ドラマの定番になった。
最近(2009年11月)再び映画化されている。
 

小説では、主人公が新婚一週間で失踪した夫を捜す心理過程を丹念に描くが、
映画では登場する三人の女性を対比してドラマチックに描いている。
主演の久我美子が三人の中でもっとも年上(1931年生)である。
高千穂ひづる、有馬稲子は宝塚での同期生(1932年生)。
しかし高千穂ひづるが社長夫人を演じているため、もっとも年上に見える。
高千穂ひづるはこの作品などでブルーリボン助演女優賞を獲得している。
今から見ると、一部のシーンでコメディエンヌ的演出が過ぎて、シリアスさに欠ける。
 

有馬稲子が助演女優賞を取るべきだった。
最後に目を開けたまま毒死するが、この演技は彼女の発案である。
有馬稲子が口ずさんだ「星の流れに」が印象的。
当時、アメリカ口語を巧みに喋る女性はパンパン扱いされたのだな。
 

監督:野村芳太郎
製作:保住一之助
原作:松本清張 
脚本:橋本忍 山田洋次
撮影:川又昻
音楽:芥川也寸志
 

出演
久我美子     (鵜原禎子)
高千穂ひづる (室田佐知子)
有馬稲子    (田沼久子)
南原宏治    (夫・鵜原憲一)
西村晃      (義兄・鵜原宗太郎)
加藤嘉     (室田儀作)
穂積隆信    (金沢での部下・本多)
十朱久雄     (仲人佐伯)
高橋とよ     (禎子の母)
沢村貞子     (宗太郎の妻)
織田政雄     (金沢署捜査主任)
桜むつ子      (立川の大隅のおばさん)
北龍二       (重役)
 

30年前にNHKで放送しているのを見ている。
それ以来、西村晃の毒殺シーンは忘れられなかった。
今回見直してみて、冒頭のシーンこそ記憶がぼやけていたが、
夜行列車が富山の海岸を通るシーンですっかり思い出した。
ネタバレになっている予告編だが、当時ベストセラーだったため、結末を誰もが知っていたから、これでいいのだ(笑)

ゼロの焦点 1961 松竹

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