名作だ。
監督は、その後カンヌ映画祭で監督賞を受賞しているイム・グォンテク。
韓国の伝統芸能パンソリに賭ける父娘の物語。
ドンホはある村で未亡人と愛し合い旅に出るが、やがて未亡人は死に、あとに彼女の養女と息子が残される。
ドンホは血の繋がらない養女ソンファと彼女の息子ユボンに、パンソリを厳しく指導する。
しかし戦後の解放で洋楽が韓国でも流行し、ユボンはドンホに歯向かい、家を出る。
ドンホとソンファは旅を続けるが、栄養失調と薬の副作用でソンファの視力は失われる。
それでもドンホは、ソンファに対する厳しい指導を続けた。
韓国の民族感情「恨」を乗り越えることができたとき、ドンホの望む歌を彼女は歌える。
父の死後、娘は酒場で歌い続けるが、「恨」を越えることはできない。
成長したユボンが、突然彼女の前に現れる。
☆
ラストのパンソリは、たしかに感動した。
本物である。
日本の浄瑠璃と似ている。
ただし日本より遙かにリズム感がよい。
10年前に韓国で大ヒットしたというのは信じられない。
地味な映画である。
日本で言えば、たとえば10年前に「伊豆の踊子」がヒットするのか?
あるいは「春琴抄」がヒットするのか?
おそらく上海映画祭で賞を獲って、注目が集まったのであろう。
主役の呉貞孩をまねて一重まぶたが流行ったというのは、本当かな?
西便制 風の丘を越えて 1993 韓国