戦争ものにジャズの要素を加えた岡本喜八監督作品。
戦争末期、小杉曹長は少年軍楽隊を最前線に派遣することを反対して、軍楽隊ともども北支の最前線に送り込まれた。
ちょうどそのとき、見習い将校は敵前逃亡の罪で銃殺されたところだった。
曹長は怒り、大尉を殴り飛ばすが,重営巣入りを命じられる。
しかし知り合いの従軍慰安婦のお春が大尉に泣きついたおかげで、曹長は奪われたヤキバ砦を奪取する命令を受ける。
彼は戦闘経験のない軍楽隊を二三日で立派な兵士として育て上げ、砦を奪い返す。
しかし、援軍は来ず、八路軍は数にものを言わせて、ふたたび砦に襲いかかる。
ジャズと戦争をうまく組み合わせた作品で、おしゃれな佳作だと思う。
お姉ちゃんトリオを解消したあと、40年代に入ってからの団令子って、演技力に開眼していたな。
しかし銃殺された見習い将校の謎など、回収が遅れた伏線が多かったのは気になる。
仲代達矢の見せ場もほとんど無かった。
現代から見ると、八路軍の中国人が日本兵に対して音楽を通して好意を持ったかも疑問だ。
50年前の認識が正しくて、現代のそれが誤っているか、はたまたその逆なのか?
中国の教育のために現代の敵愾心の方が増幅されているかも知れないな。
監督 岡本喜八
脚本 佐治乾 岡本喜八
製作 田中友幸
撮影 西垣六郎
美術 阿久根巖
音楽 佐藤勝
出演
三船敏郎
伊藤雄之助
佐藤允
天本英世
団令子 (金春芳)
仲代達矢
名古屋章
樋浦勉
阿知波信介
血と砂 1965 東宝・三船プロ