ロンドンのフランス大使の息子フィリップは執事のベインズになついているが、ベインズ夫人には厳しく扱われる。
夫婦仲はすでに冷めきっていたのだ。
ベインズがジュリーと逢引をしているところを偶然フィリップに見られる。
ベインズは口止めするが、夫人の誘導でフィリップは口を割る。
ベインズ夫人は旅に出るという。
実は家の中に隠れていて浮気の現場を押さえようと言う魂胆だ。
そうとも知らず、ベインズとジュリー、フィリップは三人だけでパーティーを開く。
☆
「第三の男」の監督原作コンビが、その前にとったサスペンス作品。
今の感覚で言うと、ぬるいだろう。
しかし子供の視点をどれだけ重視するかで、この映画の面白さは変わってくる。
私は佳作だと思う。
何せ子供は最後まで、殺人があったと信じているのである。
ミッシェル・モルガンはよく見る人(実は大スター)だが、イマイチ印象に残らない顔だ。
一方、ソニア・ドレスデルは美人だし、悪女もできる。子供部屋に忍び込んで、フィリップに浮気してる二人は何処へ行ったと形相で問うあたり、怖かった(笑)
ラルフ・リチャードソンは当時の二枚目俳優だ。ローレンス・オリビエの「リチャード3世」では腹心のバッキンガム卿を演じている。
監督キャロル・リード 「第三の男」
原作、脚本 グレアム・グリーン 「第三の男」
撮影ジョルジュ・ベリナール 「巴里の屋根の下」
出演 ラルフ・リチャードソン{執事ベインズ;「アンナ・カレーニナ」の夫カレーニン)、ミッシェル・モルガン{ジュリー;「田園交響楽」)、ボビー・ヘンリー(フィリップ)、ソニア・ドレスデル(ベインズ夫人)
画質がチンケだと一部で言われている500円DVDで見た。
たしかに画質はしょぼい。
しかし我々が名画座で見たって、フィルムがすり切れていることはあった。
これで十分だと思う。
これを叩く人は、よほどこの映画に思い入れがあって、最高画質で見なきゃいけない人じゃないかな。立派なホームシアターにこの画質では寂しいかもしれない。
でも質の悪いフィルムを再生するのも腕の見せ所です。
永遠のセルマ・リッター
映画を中心に趣味を語り尽くします!
落ちた偶像
落ちた偶像
The Fallen Idol
1948年 イギリス
監督 キャロル・リード 原作・脚本 グレアム・グリーン
出演 ラルフ・リチャードソン ミシェル・モルガン ボビー・ヘンリー
ソニア・ドレスデル ジャック・ホーキンス
『第三の男』『邪魔者は殺せ』のグレアム・グリーン、キャロル・リードのコンビによる傑作と言われるサスペンス。
この作品の特徴は子供の視点で撮られていることです。主人公フィリップ少年の日常は大使である父と母、召使いなど数人の大人に囲…