2004年01月05日(月)
No.95
監督 : 山本薩夫
製作 : 嵯峨善兵 / 岩崎昶
原作 : 野間宏
脚色 : 山形雄策
撮影 : 前田實
音楽 : 団伊玖磨

配役:
木村功 (木谷一等兵) 黒澤明「野良犬」の復員兵役で注目を集める。
神田隆 (峯中隊長)
加藤嘉 (林中尉)
岡田英次 (岡本法務少尉)
沼田曜一 (週番士官)
西村晃 (大住軍曹)
佐野浅夫(地野上等兵)
下元勉 (會田一等兵)
高原駿雄 (染一等兵)
薄田研二 (内村の父)
利根はる恵(花枝)
金子信雄(金子軍曹)

 

終戦一年前、木谷一等兵は刑務所を出所して、大坂の原隊に戻った。
かつて彼は林中尉の財布を盗んだ罪で捕まった。実は反林中尉派を一挙に潰すため、林が木谷に罪をきせたのだ。
大阪時代の同僚は既にみんなシナに送られてしまった。後輩の曾田一等兵は、そんな木谷を暖かく見守る。
そんなとき林中尉がシナから帰ってくる。ついに彼は林中尉と対決する。しかし林中尉の口から出てきたのは意外な言葉だった。

 

派閥同士のトラブルで、貧乏くじを引いたのは木谷である。それで刑務所行きだ。
しかし次に貧乏くじを引いたのは経理のポストを外された林中尉だ。彼はシナに飛ばされ、いざ帰ってきても閑職である。
美味しいのは金子(金子信雄)だ。食料班長で、戦地に出たこともないくせに、林派の切り崩しに成功した。ほんとうは金子の上にもうひとり上司の経理部長がいる。これが一番の悪であり、物資の横流しをやって、ボロ儲けしている。

 

真空地帯」とは軍が兵隊から人間性を奪い真空管のように中身を空っぽにしてしまうことを指す。
野間宏の名作だが、本当に軍の話だろうか。一般企業の派閥争いの話とさほど変わらないと思った。

企業でも美味しいポストにしがみつく奴がいる。中には犯罪絡みになることもある。近代的な男性組織というのは、常に軍隊と似た構造を持つ。
ただ企業と軍の違う点は、軍の場合は疎まれると最前線に送られて事実上殺されることだ。

 

俳優の顔ぶれは凄い。この映画で台詞の多かった新劇俳優は誰も、今や芸能界の重鎮だ。

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真空地帯 1952 北星(日本)

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