さだまさし原作小説の映画化。
江戸っ子の母は徳島市で私生児の娘咲子を生み育てたが、大人になった咲子は東京でキャリアウーマンとしてバリバリ働いている。
夏の日母が急病で入院したという知らせが届いた。
医師は母の余命は数ヶ月という。さらに母は献体の意思を表明していた。
「何故母が献体なんて」
咲子にとって母への愛憎が詰まった阿波踊りの季節が始まった。
眉山とは徳島市内を一望できる郊外の山のことで、高さはわずか290mだが阿波踊りと並んで市の象徴である。
その徳島と何の関係もない高校時代の友人が製作総括の末席に加わっていた。
犬童一心の映画に当たることの多い男だが、これも松島菜々子、宮本信子主演で大沢たかお、夏八木勲などが出演している。プロデューサーとして金を引っ張ってくるのが得意なんだろう。
映画としては本来テーマである、献体の理由もそれほど突拍子もないことではなかったし、心に引っかかるものの少ない映画だった。
でも宮本信子の気持ちの良い啖呵が聞けただけでも映画料金を払った甲斐はあっただろう。
阿波踊りのシーンも実写に、観客を入れて後から撮ったフィルムをつなげていると思うが、かなり臨場感はある。
「ジョセと虎と魚たち」「のぼうの城」とたまにヒットを飛ばす犬童監督は堅実な職人監督という感じだ。
この作品での被害者は原作のさだまさしかな。映画を見た後で小説を読んでみたいという気は全く起きなかった。
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