(☆)デイヴィッド・O・セルズニックが、第2の「風と共に去りぬ」として、贅を尽くして製作したテクニカラー映画。
ニーヴン・ブッシュの原作小説に基づき、セルズニック自身が脚色しオリヴァ・H・P・ギャレットが脚色して、ジョセフ・フォン・スタンバーグやウィリアム・ディターレらの監督を招いたがうまくいかず最終的にキング・ヴィダーが監督に当たった。
撮影はリー・ガームス、ハロルド・ロッソン、レイ・レナハンの3人である。
主演者は「ジェニーの肖像」と同じくジェニファー・ジョーンズとジョセフ・コットン、さらにグレゴリー・ペック。
共演はライオネル・バリモア、ハーバート・マーシャル、サイレント時代の大女優リリアン・ギッシュ、ウォルター・ヒューストン、チャールズ・ビックフォード。
日本公開は、1951年で配給は東宝洋画部。
ストーリー
混血女性パールは、父が浮気性の母を殺したことで父親の従姉妹ローラの元に預けられる。ローラの夫マキャンレスは上院議員であり、インディアンの血を引くパールを毛嫌いしていた。一方、ローラ夫人の二人の息子ジェシーとルートは共にパールを愛している。奥手な法律家ジェシーと違って、粗野なカウボーイであるルートはパールを誘惑して体を奪う。
マキャンレスは鉄道敷設反対派であり、大統領の命令とは言えマキャンレスの土地に鉄道を通したジェシーを勘当する。ルートは父親の後継者となり、パールの心を独占するが、婚約はしなかった。がっかりしたパールは、求婚してくれた男サムと近づき、婚約に至る。だが、サムはルートによって暗殺される。ルートは、パールにメキシコへ逃亡することを告げるが、パールは足手まといになるので連れて行かなかった・・・。
雑感
「風と共に去りぬ」でアカデミー賞を総なめにしたデヴィッド・O・セルズニックが、柳の下のドジョウを狙って製作し南部映画。
1946年の賞レースでは完敗だったためか、実質的に全米公開は1948年だった。。
最期を迎えた瞬間に愛していたのは誰かわかると言うプロットが、いかにも「風と共に去りぬ」調だ。
ジェニファー・ジョーンズは、白人とネイティヴ・アメリカンとの混血児を演じている。年齢的に無理のある少女役だとか、中国人役とか、いろんな役に振られる人だ。そして、それを拒否しない点が偉大だ。
グレゴリー・ペックは、悪役があまり似合わない人だな。歳を取ってからは、「ブラジルから来た少年」とかで悪役を演じても笑えたが、若い頃は正義の味方かチョイ悪だが根は正しい人ぐらいがぴったりだった。
スタッフ
監督 キング・ヴィダー
脚本 デヴィッド・O・セルズニック、オリヴァー・H・P・ギャレット
原作 ニーヴン・ブッシュ
製作 デヴィッド・O・セルズニック
音楽 ディミトリ・ティオムキン
撮影 リー・ガームス、レイ・レナハン、ハロルド・ロッソン
キャスト
ルート・マキャンレス(マキャンレス家の次男):グレゴリー・ペック
ジェシー・マキャンレス(長男):ジョゼフ・コットン
パール・シャベース(インディアンの血を引くはとこ):ジェニファー・ジョーンズ
ローラ・マキャンレス(ルートの母):リリアン・ギッシュ
スコット・シャベース(パールの父):ハーバート・マーシャル
ジュバル・クラブ(弁護士):ウォルター・ヒューストン
ジャクソン・マキャンレス(上院議員):ライオネル・バリモア
サム・ピアース(現場監督):チャールズ・ビックフォード
ラングフォード:オットー・クルーガー
***
ローラ夫人は心労のため倒れる。ジェシーが危篤の知らせを聞き、実家に駆け付けたときは既に夫人は亡くなっていた。ジェシーはパールをオースティンの自宅に置こうとする。ルートはジェシーからパールを奪い返すため、銃撃して殺しはしなかったが重傷を負わせる。
ルートからの国境近くに呼び出しを受けたパールは、ライフルを携えて行く。そしてルートを撃ち、パールもルートに撃たれる。亡くなる直前にルートはパールを本当に愛していたと言う。パールも愛してたわと言って、ともに死ぬ。