デンマーク発の迷宮捜査「特捜部Q」シリーズ第二弾。
20年前に学園で起きた殺人事件の真実を掘り返すが、そこにはにがい結末が待っていた。
原作はユッシ・エーズラ・オールスンで、監督も前作に続きミケル・ノルガード。
主演も前作同様にニコライ・リー・コース、ファレス・ファレス。特捜部Qの新戦力ローセ役にヨハン・ルイズ・シュミットを起用。
ヒロインはダニカ・クルリッチ(少女期はサラ・ソフィー・ボウスニーナ)が演ずる。
あらすじ
20年前の寄宿舎学校で双子の兄妹が嬲り殺されたが、犯人ビャーネは5年の懲役刑になり3年で釈放された。その事件の被害者の父親がカールに再捜査を依頼して自殺する。
事件の周辺を探ると、キアステンと名乗る女性の声で緊急通報があったことがわかる。キアステンは寄宿舎の女学生だった。しかし現在は所在不明。継母は当時物理の先生にレイプされたという。物理教師クラウスはその学校で教えていた頃、キアステンに誘われて抱いてしまうが、その途端にレイプされたと叫ばれて、騒ぎになり学校を解雇されていた。
一方、学生時代キアステンの悪仲間だったホテル財閥の御曹司ディトリウと会社社長ウルレクは捜査の進行を気に掛けて、キアステンを始末させようとオルベクに依頼する。今はホームレスに落ちぶれたキアステンも身辺を探る存在に気付き、身を隠す。
カールは関係する事件が全て日曜日に起きたことを知った。これは学生の仕業に違いない。キアステンを中心にしてディトリウとウルレクたちが不良だったことも掴んだ。早速ディトリウを訪問する。
オルベクは薬中の友人ティーネにドラッグを渡してキアステンの居場所を知る。キアステンはオルベクから逃げ出すが、ティーネを訪れるとオーバードーズで死んでいた。
キアステンは変装してオルベクを訪れ、窓から突き落として殺す。警察はキアステンがディトリウを襲うと考え網を張っていると、キアステンがディトリウ宅に現れ、あっさり逮捕される。カールはキアステンにディトリウを逮捕するためにどうすればいいか尋ねると、キアステンはウルレクは殺した人間の持ち物を蒐集する癖があるという。そこでカールはアサドとウルレク邸へ忍び込み、隠し部屋を見つける。そこには双子の持ち物も隠されていた。ところが二人はウルレクに見つかり監禁される。
ウルレクは二人を事故に見せかけて殺そうと思うが、キアステンが留置所から脱走して二人を助ける。銃撃戦になるが、ウルレクはアサドが射殺し、ディトリウはキアステンが全身に火を付けて殺し、キアステン自らもその火に飛び込む。カールはその様子を見ながら、足が動かなかった。
雑感
この作品は、第一作よりヘビーだった。北欧らしい重苦しい作品と言える。
シャーロック・ホームズの「ボヘミアの醜聞」のように、特捜部Q初めての失敗回と言えよう。
キアステンの若い頃を演じた娘サラ・ソフィー・ボウスニーナは、スカーレット・ヨハンソンに雰囲気が似ていて結構可愛かった。
オールスンの作品は回想シーンの使い方が上手いと思う。回想シーンをあちこちにばらまいているが、決して叙述トリックにしない。そこは一ひねりある東野圭吾原作の作品と違う。
スタッフ・キャスト
監督 ミケル・ノルガード
製作 ルイーズ・ヴェス 、 ヨナス・バーガー 、 ペーター・オールベック・イェンセン
原作 ユッシ・エーズラ・オールスン
脚本 ニコライ・アーセル 、 ラスマス・ヘイスターバング
撮影 エリック・クレス
配役
刑事カール ニコライ・リー・コース
助手アサド ファレス・ファレス
特捜部Qの秘書ローセ ヨハン・ルイズ・シュミット
マークス・ヤコブソン課長 ソーレン・ピルマーク
キアステン ダニカ・クルリッチ
キアステン(少女期) サラ・ソフィー・ボウスニーナ
ディトリウ ピルー・アスベック
ディトリゥの妻テルマ ベアテ・ビレ
ウルレク ダヴィッド・デンジク
オルベク ピーター・クリフトファーセン
ビャーネ アダム・アイルド・ロウェーダ