非常に良い映画なのだが、老人の性と死を扱う「敬老映画」だから、アメリカでの興業成績は全く振るわなかったそうだ。日本も然り。良いものを作っても売れないのは、世の常だが、一人でも多くの人が見るべきだと思う。
スティーブ・コンラッドのオリジナル脚本をランダ・ヘインズが監督した。主演はリチャード・ハリスとロバート・デュヴァルでバディ映画でもある。大女優シャーリー・マクレーンとパイパー・ローリーが花を添えている。
当時新人だったサンドラ・ブロックがこの映画で頭角を現した。
あらすじ
フロリダの老人アパートの入居する元船長のフランク(リチャード・ハリス)は70才過ぎても全裸で配達品を取りに行くような不良親父である。若い頃プエルトリコでヘミングウェイとレスリングしたことが唯一の自慢の種である。
堅物のウォルター(ロバート・デュバル)は引退した床屋で、訛りのきつい英語で話す亡命キューバ人である。毎日レストランで可愛いウェイトレスのエレーン(サンドラ・ブロック)にベーコンサンドを二食分注文するのが楽しみである。ウォルターがベーコンエッグを真夏の公園で頬張っているときに、フランクが通りかかったのが二人の出会いだった。
フランクは誕生日に息子が出てくるとはしゃいでいたが、直前になって行けなくなったと息子から大家のクーニー夫人(シャーリー・マクレーン)に連絡があった。がっかりしたフランクは気晴らしにウォルターに話しかけるようになり、タンデム自転車を二人で乗り回して遠出する仲になる。。
しかしある日、エレーンが水兵と結婚することになり、町を出て行くと言われ、ウォルターは一緒に贈り物を探してくれとフランクに頼む。フランクが見つけたのはウォッカだったが、エレーンに飲めないからと突き返される。失意のウォルターはフランクに当たる。とくにフランクが息子から贈られて被っている帽子をセンスがないとこき下ろすと、フランクも逆ギレしてしまう。
数日後、フランクは遊んでいる子供を出汁にしてウォルターに話し掛け、ウォルターも言い過ぎたことを謝罪する。やがて老人会のダンスパーティーが開かれる。またタンデム自転車で出かけようと約束するが、時間になってもフランクは来ない。部屋に行くと、フランクは正装をして静かに息を引き取っていた。後のことをクーニー夫人にまかせ、ウォルターはタンデム自転車に一人乗ってダンパ会場に向かう。フランクの分まで楽しんでくるつもりだ。
雑感
取り立てて良いことはなかったんだが、フランクは幸せな死に方をしたと思うし、ウォルターも顰めっ面を止めて幸せな余生を送るだろう。人生とは何かを考えさせる映画だった。
本人もアイルランド出身のリチャード・ハリスはオールヌードのバックショットを何度も取らせて大ハッスルしていた。でも後で調べてみると、当時まだ63なのだ。そんなに老けているとは思えないが、特殊メイクなんだろうか。
ロバート・デュヴァルの方は、キューバから亡命した堅物の役だった。キューバ人と言えば明るくいい加減な人間というステレオタイプで見てしまうから、初めはロバート・デュバルが演ずることに違和感があった。しかしラストシーンの笑顔で何故この人が起用されたか、分かったような気がする。
スタッフ
監督 ランダ・ヘインズ
製作 トッド・ブラック、ジョー・ワイザン
オリジナル脚本 スティーブ・コンラッド
撮影 ラホス・コルタイ
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キャスト
リチャード・ハリス 元船乗りフランク
ロバート・デュヴァル 元床屋ウォルター
シャーリー・マクレーン 大家さんクーニー夫人
サンドラ・ブロック ウェイトレス・エレーン
パイパー・ローリー 映画館に現れる老女・ジョージア