米軍の研究所が新たにピラニアとトビウオを合体させ殺人兵器として開発した殺人魚が海岸から人間に襲いかかる、SFパニック映画。
1978年映画「ピラニア」の正統な続編である。
イタリアの海洋パニック映画「テンタクルズ」(1977)のオビディオ・G・アソニティスが製作総指揮し、シリーズ前作のチャコ・バン・リーウェン(筑波久子、昭和30年代の日活女優だった)とジェフ・シェクトマンが再び製作を担当した。
H・A・ミルトンが脚本を書き、CG映画の巨匠ジェームズ・キャメロンが初監督している。
カラー映画で、ロベルト・デットーレ・ピアッツォーリが撮影を担当している。
主演はトリシア・オニール、スティーヴ・マラチャック、ランス・ヘンリクセン。
共演はアンシル・グロードン。
雑感
今回は舞台を海に設定するため、ピラニアにトビウオの能力を植え付けたり、スタッフをイタリア人で統一するなど前作をはるかに超える超低予算B級映画感がある。
しかし、題名の割にコミカルな要素は全然ない。
後半になって盛り上がるかなと思うが、殺人魚が飛ぶシーンが全く怖くないのだ。
前作同様に殺人魚がすべて死んだのかの検証も為されない。
これから先は、どうなるか分からない。
そのおかげで永遠に続編が作られる。
SFX特撮映画の巨匠ジェームズ・キャメロンの初監督作品ながら特撮がまるで幼稚である。
スタッフがイタリア人で英語を喋れなかったので、ジェームズ・キャメロンは途中降板して製作総指揮オビディオ・G・アソニティスが引き継いだ。
しかし、米国で公開するには監督がアメリカ人の方がいいと言うことで、監督として名前を残されたのが真相らしい。
まさか、自分が将来巨匠になるとは知らずキャメロンは承知してしまったわけだが、今や完全な黒歴史である。
俳優陣も予算を抑えたが、アンの夫役ランス・ヘンリクセンは、他にも多数出演している。
ジェームズ・キャメロン監督の「ターミネーター」の刑事役、「エイリアン2」のビショップ役が有名だ。
原題は製作側のイタリアで付けられたもので「産卵」という意味がある。アメリカでは「Piranha Part II Flying Killers」と呼ばれていたので、日本でもそれを真似たようだ。
キャスト
トリシア・オニール 海洋学者アン・キンブロー
スティーヴ・マラチャック 生物学者タイラー
ランス・ヘンリクセン スティーブ保安官
リッキー・G・ポール アンの息子クリス
テッド・リチャード 支配人ラウル
アンシル・グロードン ギャビー
レスリー・グレイヴス アリスン
キャロル・デイヴィス ジェイ
スタッフ
製作 チャコ・バン・リーウェン(筑波久子)、ジェフ・シェクトマン
製作総指揮、監督 オビディオ・G・アソニティス
監督 ジェームズ・キャメロン
脚本 H・A・ミルトン
撮影 ロベルト・デトーレ・ピアゾッリ
音楽 スティーヴ・パウダー
特殊効果 ジャネット・デ・ロッシ
ストーリー
カリブ海の小島にリゾート地があった。
夫と別居している海洋学者アン・キンブローは、息子クリスとの生活を守るため、スキューバ教室のコーチをしている。
彼女は、客を先導し数ヵ月前に沈んだ海軍船の周りを潜る。そのとき、客の男が船室に入り、何者かに体中食いちぎられて死亡する。
アンの夫スティーブ保安官は、この怪死事件を捜査する。その最中にタイラーと言う謎の宿泊客が、アンを口説く。最近ご無沙汰のアンはその気になっているが、事件が気になり秘かに死体置場に侵入して遺体を撮影する。そのときは、看護婦に見とがめられ二人は追い出される。その後、二人は共に素敵な夜を過ごすが、看護婦が死体置き場で何者かに食いちぎられて殺される・・・。
アンは、沈没船を捜査してピラニアのような殺人魚の存在を確認する。そこでタイラーは、軍がピラニアと飛び魚を合成して殺人魚を作ったが、それを運んでいる船が沈没し、そのまま住み着いたと説明する。彼は軍の研究者であった。
アンはホテルの支配人ラウルに客を海に出すなと要求する。経営優先のラウルは、今夜の海岸での催し物を強行する。それは、メス魚が大量に波打ち際に現れ、産卵するものだ。
事態の深刻さを話し合ったアン、タイラー、スティーブは収拾するために行動を始める。
アンの息子クリスは、彼の娘アリソンとボートで海に出ていた。父親であるスティーブがヘリで彼らを捜索する。
ホテル前の海岸では産卵を見るために、宿泊客が大勢出てきた。そこに殺人魚たちが飛んでくる。アンらは、まず人々をホテル内に避難させたが、逃げ遅れた人たちは犠牲となった。
アンとタイラーは、沈没船に時限爆弾をしかけて、殺人魚たちを木っ端微塵にするつもりだ。
しかし、ダイナマイトの爆発直前にタイラーが捕まり、殺人魚と運命を共にする。
スティーブも直前にクリスとアリソンを救出し、久しぶりにアンと喜びを讃え合った。