(☆)石原慎太郎の原作を、松山善三が脚色し、川島雄三が監督したラブ・コメディ映画
カラー映画で、撮影は中井朝一が担当。
主演は宝田明団令子
共演は新珠三千代、草笛光子、北あけみ、中谷一郎

雑感

宝田明団令子の恋愛喜劇。団令子の芸達者ぶりが見られる。
宝田に振られる役も新珠三千代草笛光子と顔ぶれが揃っている。
当時最年少の芥川賞作家だった、この映画の原作者石原慎太郎は、売れっ子作家として争奪戦が行われた。実は東宝に一時所属していた。しかし、すぐフリーになり、「狂った果実」で脚本も書いた、弟が所属していた日活だけでなく、大映にも原作を提供した。東宝にもいくつか原作を書いている。また、1958年には監督もしている(東宝映画「若い獣」)。
タイトルマッチの提供は、ペトリカメラ。日本最初の写真機メーカーである小西六写真工業に次いで参入した栗林写真機のカメラ・ブランドである。
廉価路線で業績を上げたが、現在は、写真機から撤退して双眼鏡のOEM生産を行なっている。

最後のシーンは、川べりのマムシ料理店で原作者石原慎太郎が色紙に赤字で題名「接吻泥棒」と書いて、The Endとなる。

キャスト

宝田明  ボクサー高田明
団令子  女子高生由紀美恵子
新珠三千代  クラブのママ・山岸エリ
草笛光子  デザイナー・エレナ西条
北あけみ  ダンサー沢井洋子
中谷一郎  カメラマン日高
河津清三郎  由紀美恵子の父
東郷晴子  母由紀京子
頭師孝雄  息子由紀雄一
上田吉二郎  大石重太郎(エリの旦那)
堺左千夫  マネジャー松本
有島一郎   教師木村
沢村貞子  戸田
塩沢とき  花岡
千石規子  赤岩
星由里子  玲子(美恵子の友人)
石原慎太郎  本人役

スタッフ

監督  川島雄三
製作  藤本真澄
原作  石原慎太郎
脚色  松山善三
撮影  中井朝一
音楽  黛敏郎

 

ストーリー

衝突事故があり、タクシーに乗っていたボクシングのライト級チャンピオン高田明が失神している女子高生由起美恵子に口うつしで水を飲ませた。その瞬間をカメラマンの日高に写真をとられ、週刊誌の表紙を飾った。
美恵子は名門ミッションスクールの生徒だったので、事件が校風を傷つけるものとして職員会議にかけられる。
一方、由紀家の主人は、バンタム級選手だったので明と意気投合してしまい、ペロスとの世界選手権のスポンサーを買って出た。
明は職員会議に呼ばれて、美恵子を子供であり魅力を感じないと言った。怒った美恵子は明に興味が湧き、ボクシングを見に行くが失神し、精を付けるには蛇料理と言われて食べるが嘔吐する。それでも、明の人となりに触れて断然好きになった・・・。

明の女性関係は、バーのマダムの山岸エリ、ファッション・デザイナーのエレナ西条、そしてダンサーの沢井洋子と付き合っていた。それでも美恵子は彼女らに正々堂々挑戦した。その開けっぴろげぶりに驚きながら、明も美恵子に愛し始めていた。
ついに明は、三人の女と手を切ろうと、ボクシングのマネジャーから十万円借りた。しかし、十万円は洋子に取り上げられた。エリは自家用飛行機に誘うが、上空で明が情けない悲鳴を上げたのを見て、すっぱり諦めた。西条は泣きわめくが、彼女に惚れている日高が現れたので逃げ出した。
ペロスとの世界選手権の日、美恵子が見守る中、明はペロスに逆転KO勝ちした。明は美恵子を誘い、蛇料理屋にかけつけた。ところが、日高と出会ってノック・アウトされ失神する。逆に、美恵子が口うつしで水を飲ませ、明は気がついた。二人は仲良く去る姿を石原慎太郎は見ていて、色紙を一枚書く。

接吻泥棒 1960 東宝東京製作 東宝配給 宝田明と団令子のラブコメ

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