1988年秋、インベーダーが地球を襲撃してきた。国連は宇宙戦闘機スペース・ファイターを装備した轟天号を金星に派遣し、迎撃する。
脚本は中西隆三氷原秀一、監督はアクションを得意とする福田純が担当した。特撮監督は中野昭慶
主演は森田健作(前千葉県知事)、浅野ゆうこ、池部良
共演は沖雅也、宮内洋

あらすじ

1988年秋に、世界各地で流星雨(UFO)が目撃され、電波障害が起きて大混乱した。
アメリカにある国連宇宙局本部に勤める三好は3年ぶりに休暇で帰国する。紅一点のジュンが室井、冬木と三好の歓迎会を行う。席上、室井はジュンと婚約したことを報告する。かつて三好はジュンと付き合っていたため複雑な気持ちになる。
三好が宇宙ステーション・テラの三笠と交信していると、画像が妨害電波のために消えて、「ローマ船だ」と言う三笠の声と同時に、音声は絶える。国連宇宙局日本支部の松沢所長は、緊急事態をニューヨークに正式報告を命ずる。

三好はジュンの父滝川博士に会わせてくれと頼む。滝川博士は宇宙防衛艦轟天の開発者だったが、国防軍が開発中止を要請したため、博士は国防軍を引退して轟天の開発も諦めていた。三好は国連の総意として轟天開発の再開を請うた。
そこへ三好の上司シュミット博士が亡くなったという知らせが松沢博士から入る。シュミットは日本アルプスの流星雨調査をしていて何者かに殺されたらしい。ところがシュミットは突然滝川博士の前に現れて、轟天の設計図はどこにあると尋ねる。滝川博士はシュミットが偽物だと気づき、冬木室井と撃ち合いとなり、偽シュミットは自爆して果てる。

早速、滝川艦長以下轟天乗組員が南方の轟天開発基地に潜水艦で行き、艦の完成を急いだ。世界中の重要都市で、侵略軍の球状戦闘機ヘルファイターの攻撃が始まった。そんなとき隊員の一人ジミーがニューヨークから合流する。

ヘルファイターは東京の国防軍本部を空爆するが、南方の小島にある轟天製造基地には攻撃が遅れる。完成を迎え、飛び立った轟天は地球上のヘル・ファイターを一掃した。さらに轟天は九日かけて侵略軍基地のある金星に向って出撃した。

三好は、ジミーの家族全員が死亡したとの知らせが受け取っていたが、引力圏を脱出してからジミーに知らせる。また室井は、もし自分に何かあったら三好にジュンを頼むと言う。皆、もう地球に戻ることはないと考えていた。
途中で宇宙ステーション・テラの残骸が発見され、室井が救援隊として派遣される。室井は残骸内部で生存者を確認できなかったが、三笠の遺体を発見し轟天に連れ帰る。しかし三笠の遺骸に化けていたインベーダーが急に立ち上がり、ジュンを攫って待機していた宇宙船で去ってしまう。
その後、銀河帝国司令官を名乗るヘルとツノの生えた宇宙猿人が、ボンテージ姿にされたジュンと共に映っている映像が送られてきた。ヨミ恒星系第3惑星からやってきた彼らは、自分たちの星が年老いたため、自分たちの星とよく似た組成を持つ星・地球に移住するため征服するのだと言う。

金星に着陸した轟天は敵の金星基地を偵察するため、偵察隊員の乗るランドローバーを送り出す。そして火山の麓にバリヤーを使って隠れる「宇宙大魔艦」を発見する。
一旦、轟天にランドローバーは帰り、改めて潜行部隊と攻撃部隊に隊員を分けて、大魔艦を攻撃する。ランドローバーは三好と冬木、さらにもう二人いる。スペース・ファイター攻撃部隊のジミーが戦死した折り、山の崩落が起き、麓にいた魔艦のバリアーが消え、潜入部隊はエアーダクトから侵入する。
しかし潜入部隊四人中、三好を除く三人が戦死する。三好も敵に捕まり、ジュンと一緒に投獄される。うまく敵の隙をつき脱出するが、宇宙猿人の振り下ろす斧は強力でこちらの武器では歯が立たない。ところが先ほど倒した敵兵から頂いたナイフを猿人に投げつけると、胸に刺さり猿人は止まってしまう。ロボットだったようだ。二人は、大魔艦から脱出し、轟天に収容される。

すると遂にヘル提督は、「大魔艦」を浮上させた・・・。

雑感

当時はこれが日本の「スターウォーズ」かよと笑い物になった。
しかしこれはアニメ「宇宙戦艦ヤマト」(映画化は東映)にインスパイヤされて作った作品だ。だからインベーダーは顔が青緑だ。
言わば漫画の映画化みたいなものだったのに、予算が掛かっている「スターウォーズ」の対抗馬のように取り上げられて悲惨だった。

轟天は1900年に押川春浪によって書かれたSF小説「海底軍艦」に現れる。それを映画化した東宝映画「海底戦艦」で、ロマンを感じさせるドリルを先端に取り付けたら大ヒットしてしまい、それ以後東宝は独自の轟天を次々と作り出している。

主役は最後に特攻隊(いや人間魚雷かな)として見せ場のある池部良。東宝の生え抜き俳優として意地を見せたが、途中の演技にやる気は感じられなかった。

森田健作は松竹のイメージだ。日活出身の沖雅也にしろ東映アクションの宮内洋にしろ外部タレントを使っているのが、以前の東宝特撮映画との違いだ。以前は新劇出身者を除き、自社の俳優を用いたものだった。おかげで、映画会社のカラーが無くなった。

その中でもモデル、歌手、タレント出身の浅野ゆう子は、映画デビューまもない頃で、格上の人に囲まれて学芸会の涙しか流せなかったのをどう思っただろう。でも今と違って若々しく綺麗だった。ナイスバディーだったし。お子様向け映画だから、ボンテージまでしか着られなかったのが残念。

スタッフ

製作、原案  田中友幸
製作  田中文雄
脚本  中西隆三、永原秀一
監督  福田純
特技監督  中野昭慶
撮影  逢沢譲
音楽  津島利章
特技撮影  山本武
光学撮影  宮西武史
特殊効果  渡辺忠昭

キャスト

三好孝次  森田健作
滝川ジュン  浅野ゆう子
室井礼介  沖雅也
滝川正人博士  池部良
三笠忠(宇宙ステーション)  新克利
冬木和夫  宮内洋
ジミー  デビッド・ペーレン (声:宮内洋
松沢博士(日本支局長)  大滝秀治
大石国防軍司令官  平田昭彦
シュミット博士  ウイリアム・ロス
へル  睦五郎
研究員A  橋本功
幕僚  中山昭二
操艦士  山本亘
瀬戸山功  レーダー係

***

ジュンの無事を聞いてほっとした室井は、大魔艦に背後から撃墜される。
大魔艦を待ち受けていた轟天も、飛び立った。両者は一騎討ちの様相を見せた。轟天の度重なる攻撃を受けて大魔艦はふらついたが、次の瞬間新兵器の広域光線銃を放つ。思いもしない敵の反撃に体勢を崩した轟天は物陰で停泊して修理を急ぐ。
皆が修理に艦上へ散ったとき、滝川は一人で轟天の地下収納庫へ入る。そこには滝川が極秘裏に開発していた超爆弾が隠されていた。それは銀河系全体を壊しかねないものだったのだ。轟天のドリルは分離して単独飛行できるのだが、滝川はその爆弾と一緒に大魔艦に体当たりをして、その結果大魔艦は撃墜される。
インベーダーは全滅し、地球の平和は約束された。
修繕が終わったクルーに対して、三好は地球への帰投命令を発した。彼らのはるか後ろで今までいた金星が爆発して宇宙の塵と消えた。

 

 

 
惑星大戦争 1977 東宝製作・配給 日本特撮によるスター・ウォーズ

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