主演は船越英二と当時新人の穂高のり子だが、
船越の父親役・潮万太郎の熱演に注目だ。
実際、野球拳のシーンだとか野球の試合だとか、一生懸命やってるのが素人目にわかるのだ。
四十過ぎても決して手を抜いていない。
喜劇には本質的に向いていないと思うのだが。大映の脇役に欠かせない人である。
社長役の岡村文子のキャラも気に入った。
顔は大阪のおばさん役者に多いタイプだが、それに加えて品がある。
川崎敬三とくっつく芸者役の伏見和子だが、かなりの美人だし、格からすると穂高のり子の役をやるべきだと思う。
何故かこの映画では新人に主役を譲り、自分は脇役に収まっている。
穂高のり子の主演作は他に見たことがない。
ブスではないんだが、花のないタイプかも知れない。
でも犯人の妻役なんかぴたりだと思う。
主題歌「恋の野球拳」は楠トシエ。
オリジナルは大正13年に作られた。
のちに昭和28年全国的にヒットし、この映画の製作に結び付いている。
昭和44年、コント55号の「裏番組をブッ飛ばせ!」でリバイバルしたのはご存じの通り。
http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD24383/index.html
恋の野球拳 こういう具合にしやしゃんせ(1955)大映