ブドウが実るに、40代男女の恋愛模様を描いた、エリック・ロメール監督の「四季の物語」シリーズ完結作
監督・脚本は名匠エリック・ロメールで、製作はフランソワーズ・エチュガライ。撮影は「木と市長と文化会館」からロメール映画を撮影しているディアーヌ・バラチエ

主演は「緑の光線」のマリー・リヴィエール、「レネットとミラベル 四つの冒険」のベアトリス・ロマン
共演はアラン・リボル、ディディエ・サンドル
1998年ヴェネチア国際映画祭最優秀脚本賞を受賞。カラー映画。

日本では同年フランス映画社が配給。

ストーリー

南フランスサン・ポール・トロワ・シャトーという町。
イサベルは人妻で本屋を営んでいる。幼馴染でワイン作りに打ち込む親友マガリが夫を亡くしてから元気がないことを心配していた。マガリの息子レオのガールフレンドで女子大生ロジーヌも同様に気に掛けていた。
イサベルとロジーヌは、マガリの代わりにそれぞれ独自にお相手を探し出す。まずイサベルはマガリの振りをして新聞の交際希望欄に投書し、妻と別れたばかりのジェラールとデートする。三度目のデートでジェラールを信頼するに足る人物だと確信したイサベルは、真実を打ち明けマガリに会わせることを約束する。一方ロジーヌは、レオの前の恋人である高校教師エチエンヌを、マガリに紹介するつもりだ。
イサベルの娘エミリアの結婚披露宴がガーデンパーティー形式で開かれる。何も知らないマガリの前に、ジェラールが現れた。マガリは同じブドウ農家育ちの彼のことをかなり気に入った。そこにロジーヌが現れエチエンヌに会わせると言って二人を引き離す。ところがエチエンヌは、年増の自分より美しい教え子が気になる様子だったので、気を利かしてマガリは彼と離れてしまう。どうやらエチエンヌは、若い娘が好みらしかった。
マガリが、ジェラールを探しに家の中に入ると、サロンでイサベルと彼が親しげに話しているところを見てしまう・・・。

雑感

エリック・ロメール監督「四季の物語」完結作も傑作だった。
イサベルとロジーヌの二人は、マガリという40代の女性に恋人(できれば結婚相手)を紹介したいと考える。幸福な結婚生活を送っているイサベルは直観を働かせて3回会っただけのジェラールがマガリにピッタリだと見抜く。女子大生は、前の恋人エチエンヌが鬱陶しくなってマガリに譲ろうとしている。
二人の男性と会い、マガリは一目でエチエンヌが年甲斐もなく若い娘を求めていることを見抜く。一方、ジェラールとは相性が良さそうだが、気掛かりはイサベルとジェラールの関係だった。

いつもながら、エリック・ロメール監督は些細な男女のトラブルから男性にも分かるように複雑な女性心理を描き出す。
そこに横たわる問題は後から考えたら単純なものなのだが、当事者のマガリの立場になると、つい慎重になったり興奮してしまう。
マガリは夫を失い、まだ四十代だが今はワイン造りに賭けている。元々対人関係で慎重な性質で、しばらく異性と付き合わなかったので、異性に対して臆病になっていたのだ。

ここでフランス人女性に関する偏見に対して考えたい。イケイケ女性はどの国でも盛場に行けばいる。しかし、フランス人女性を誰でも軽い人間だと思うと我々は失敗する。
普通のフランス人女性には、日本人と変わらず慎重な人も割合多い。そういう場合、付き合うためには、ある程度は段取りを踏まないといけない。でも心を許して付き合うようになると、日本人女性より大胆になるかもしれない。外国人女性に対して、日本人男性はマメ(精力的)であることが最も重要である。

マリー・リヴィエールは、10年ぐらい前のロメール映画「緑の光線」の時はまさに暗い女性で出会いが少なく、もう自分がときめくことは無いのではないかと思い込んでいたが、ほんの些細なことで目が開かれる役を演じていた。
また、マリー・リヴィエールベアトリス・ロマンは、ロメール映画「レネットとミラベル/四つの物語」の第三話でも寸劇を詐欺師と監視員役で共演している。(70)

スタッフ

監督、脚本  エリック・ロメール
製作  フランソワーズ・エチュガライ
撮影  ディアーヌ・バラティエ
音楽  クロード・マルティ、ジェラール・パンサネル、ピエール・ペイラス、アントネッロ・サリス

 

キャスト

イサベル  マリー・リヴィエール
マガリ(親友)  ベアトリス・ロマン
ジェラルド(広告で知り合った男)  アラン・リボール
エチエンヌ(高校教師)  ディディエ・サンドル
ロシーヌ(レオの恋人)  アレクシア・ポルタル
レオ(マガリの長男)  ステファーヌ・ダルモン
エミリア(イザベルの娘)  オーレリア・アルカイス
グレゴワール  マチュー・ダヴェット
ジャン・ジャック(イサベルの夫)  イヴ・アルケ

***

マガリに気付いたイザベルは、改めてジェラールをマガリに紹介する。しかし、マガリはイザベルの行動に不審なものを感じていた。その後、ジェラールの車で自宅まで送ってもらったが、マガリには不信が募って会話もギクシャクしてしまう。
マガリは、夜になってからイザベルを再び訪れ、イザベルとジェラールの関係を確かめる。イザベルは真実を語り、そこにジェラールもイザベルに相談するために、戻ってくる。そこで顔を合わせた二人は、お互いの気持ちを確かめ合い、二週間後に再会する約束をして別れる。

恋の秋 Contes d’Automne (1998) 仏ロサンジュ製作・配給 エリック・ロメール監督「四季の物語」完結作

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