パオロ・フェラーリとオッタヴィオ・ジェンマの脚本をパスクァーレ・フェスタ・カンパニーレが監督したセックス・コメディ。
音楽は「黄金の七人」のアルマンド・トロバヨーリ。サントラ盤は有名である。
主演はカトリーヌ・スパーク、共演はジャン・ルイ・トランティニャン、ルイジ・プロイェッティ。
あらすじ
ミミはまだ若いのに夫フランコを失う。弁護士サンドロから、夫が秘密の隠れ家を借りていたことを知った。そこに入って留守番電話を確かめると、友人クラウディアの声が入っていた。そこは上下左右がガラスの間で、夫はセックス・プレーを撮影していた。さらに夫のサド趣味を満たす、あらゆる道具があった。さらに夫はお医者さんごっこをしているテープや女の服を引き裂くテープが出てきた。ミミは、自分を一度も楽しませてくれなかった夫がどんな気持ちでこう言うプレーを楽しんでいたのかを知りたくて、「変態性欲心理学」の教科書を買い込み、日夜読み明かした。
実践のため、手はじめにミミはサンドロを相手に選んだ。行為の後サンドロはミミをお世辞で褒めたが、結婚したいほど愛しているわけではない。次に歯の治療に行った歯医者と診察台の上でやってしまう。さらにテニス教師を男子専用シャワーにミミが乗り込み、車に乗せてくれた男からは生まれて初めてチップを稼いだ。
親友クラウディアとパーティーで会った。クラウディアは、小さな生きている甲虫を、ミミの夫フランコのために胸のアプローチとして飾っていた。そのパーティーで引っ掛けた男オットーは服を引き裂き荒々しいサディストだった。
次は、家政婦マリアの恋人である粗野な配管工に興味を持ったが、興味は長く続かなかった。
クラウディオの夫ファブリッツォも秘密の借家へ連れ込んで試してみるが、ファブリッツォはもっと楽しい遊び方があると言う。彼はGFを連れてきて裸にして俯きに横たえたミミとサファリ姿のファブリッツォを痛めつける。しかしこれはミミの好みではなく、中止となる。
そんなミミの健康を案じたミミの母や友人トニーは、一度医者に診察してもらうよう、彼女にすすめた。
ミミは病院に行き、そこでデ・マルキと言う、知的な放射線科医師にひと目ぼれする。ミミは、学生になりすましデ・マルキの授業に出席し、彼の興味を惹き、助手となり、ついに一泊デートにこぎつける。その夜、結婚を申しこまれた。
ミミは自分の本性がもう変態になってしまったと知っていた。だから何としても結婚だけは断らなければならない。相手を不幸にしたくはない。それで帰りの車の中で一枚ずつ服を脱ぎ捨てていった。ふしだらな姿を見せてデ・マルキに諦めて欲しかったのだ。パンティ一枚になったとき、デ・マルキはガソリン入れてもらうから、その間コーヒーを飲んで来ると言って出て行く。ミミの半裸は一斉にガソリンスタンドの男たちの高貴な目に晒される。デ・マルキが帰ってきたときにミミは無言で泣いていた・・・。
雑感
典型的なイタリアン・コメディ(艶笑喜劇)。
カトリーヌ・スパークは、1960年代のフランスのセックス・シンボルの一人。他の女優と比べて、体に張りがなくて色気がないので、彼女のヌードは面白くない。だから本格的なヌードシーンは、レントゲン撮影シーンぐらいだ。
しかしそんな彼女も設定と脚本しだいで人々を楽しませることはできる。ラウラ・アントネッリでこの脚本では面白くない。
ジャン・ルイ・トランティニアンは、こんな役でもできると知った。名作「男と女」から2年後の映画だが、笑いを取らずにコメディにしてしまう。力のある俳優にしかできないことなんだろうな。
でも最後のお馬さんのシーンは、谷崎潤一郎の「痴人の愛」を読んでいると年齢が行けば行くほど男の方が辛くなるぞ。
なお映画オタクの小西康陽が野宮真貴と組んだ音楽プロジェクトであるピチカート・ファイヴは、この映画のオマージュとして「女性上位時代」というアルバムをコロムビア移籍第一弾として1991年発売した。
スタッフ
監督 パスクァーレ・フェスタ・カンパニーレ
脚本 パオロ・フェラーリ、オッタヴィオ・ジェンマ
撮影 アルフィオ・コンティーニ
音楽 アルマンド・トロヴァヨーリ
キャスト
未亡人ミミ カトリーヌ・スパーク
デ・マルキ放射線医師 ジャン=ルイ・トランティニャン
サンドロ・マルディニ弁護士 ルイジ・プロイェッティ
友人クラウディア フェビエンヌ・ダリ
クラウディアの夫ファブリッツォ レンツォ・モンタナーニ
トニ(医者) パオロ・ストッパ
ミミの母 ノラ・リッチー
マリア(メイド) エッダ・フェラナオ
配管工(マリアの恋人) ベナンティノ・ベナンティーニ
歯医者 フランク・ウォルフ
パオロ(テニス・インストラクター) フィリップ・ルロワ
本屋 ヴィットリオ・カプリオ
***
さらに結婚を拒否するために、ミミは秘密の部屋にデ・マルキを連れ込んで、自分のしてきた情事のテープを見せる。しかしデ・マルキは、いつ結婚してくれると尋ねてくる。結婚できないと言うミミに対して、デ・マルキは亡夫の作った変態部屋を次々と破壊していく。
ミミは、デ・マルキの愛の軍門にくだり、ふたりはめでたく結婚する。しかし結婚するにあたってミミは条件を一つ付けていた。ミミは、病院でデ・マルキに背負われた快感が忘れられなかったのだ。ミミを背中にのせ、四つんバイになって「女性上位」でデ・マルキは階段下から二階まで彼女を運んでやった。