今年の天皇賞・秋は菊花賞に引き続き二週連続の台風で、ドロドロの雨不良馬場。
9Rと10Rを見ていると、道悪だから外が良いという状況ではない。かえって内枠が来ている。しかも520キロを越える馬格の馬が連絡みしている。
先行力のあるタイプが有利とみたが、力のあるタイプなら差し馬でも先行押し切りがあるから注意。

馬体重でショックを受けたのがネオリアリズム、16キロ増と太りすぎだ。
パドックでもその通り太く見える。ここから買っていただけにがっくりしてしまった。
それ以外にパドックで気になったのは、キタサンブラックとカデナ。キタサンブラックは完全休養明けの復帰初戦で入れ込みが出ている。カデナは逆に古馬に囲まれて元気がない。3歳牝馬ソウルスターリングを見習え。

レースは意外なスタートで幕を上げる。
キタサンブラックとディサイファが出遅れたのだ。一番人気キタサンブラックはゲートに突進して鼻面をぶつけて引っこめたところでスタートが切られたそうだ。
まずロードヴァンドールがハナにたつ展開。内からサクラアンプルールが続き、2枠のリアルスティールネオリアリズムが先行する。大外のシャケトラが早くも上がっていき、他の先行勢も掛かり気味に進み、先頭争いが激しくなる。
1000m通過は1分4秒2とかなり遅い。2番人気で2番枠のサトノクラウンが最内コースを嫌って第2コースを通ったのは良いが、他馬が外を回るため前に馬がいない形になり引っかかってしまった。その隙に最内を回ってグレーターロンドンが4角先頭に立つ。何と出遅れ内を突いていたキタサンブラックが一気に上がり二番手。サトノクラウンは三番手に控えた。キタサンブラックは、グレーターロンドンを内から圧を掛けて、残り400mで一気に先頭に立ち二馬身突き抜ける。ところがサトノクラウンがそこから内に回って加速し体を合わせてくると、キタサンブラックもさらに一伸びしたところがゴール。

結局、武豊騎乗キタサンブラックが2分8秒3、最速上がり38秒5、ラスト1ハロン14秒という近年に見ない凄いレースを制した。(昔のファンは見なれたスピードだったが)残り600mから300mまでの加速が凄い。さらに詰め寄られた残り100mでダメ押しをする当たり憎らしいほど強かった。542キロという馬格がものを言ったようだ。時計を換算するとダイシンボルガードが勝った泥んこダービーよりはマシだが、2000mに距離が少なくなった秋天としてもっとも遅い勝ち時計だった。

クビ差二着はデムーロ騎乗サトノクラウン、道中で引っかかった分、最後のエンジンが掛かるのが遅かった。ラストも一瞬しか足が使えていない。本質的に中山、阪神向きだ。2馬身半差を付けられて三着は、道中でキタサンブラックのピタリ外に付け、キタサンとは違い何頭分か外を回った岩田騎乗レインボーライン。ステイゴールド産駒だけに今後も荒れ馬場で見逃せない。4着は先行してそのまま流れ込んだリアルスティール、この距離では決め手不足である。5着は外枠から追い込んだダービー馬マカヒキ。

メジロマックイーンが降着になった1991年秋の天皇賞(1着プレクラスニー)も不良馬場で、若い武豊は外枠から位置取りを焦り後続馬に迷惑をかけてしまった。騎手としては26年経って大人になったと言うことだろう。
レースを終えて上位に入った馬は消耗が激しいと思う。JCに無理して出走する必要は無い。とくにキタサンブラックはJCを連覇したいだろうが、故障リスクもあるからとくに注意して欲しい。

天皇賞・秋 2017 キタサンブラック

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