東京帝大卒航空自衛隊出身の推理作家丘美丈二郎の原案第四弾。関沢新一脚本を本多猪四郎が監督し、円谷英二が特技監督を務めた。
国際的宝石強盗団を追っている警視庁駒井刑事は、ダイヤを食べる奇怪な怪物と謎の外人に遭遇する。
主演は夏木陽介、中村伸郎、共演は藤山陽子、河津清三郎ら。

 

あらすじ

 
テレビ衛星が突然空から消える。同時にダイヤモンド窃盗事件が世界中で起きる。警視庁は宝石強盗団の仕業として捜査を開始する。
警視庁駒井刑事は、謎の外国人マークをして、結晶学の第一人者宗方博士のもとを訪れ、マークを発見するもダイヤを盗まれる。しかし、マークもダイヤを強盗団に盗まれる。しかしダイヤは宗方博士が研究中の「人造ダイヤ」だった。その頃、石炭集積場から石炭が空に吸い上げられる事件が起きる。
数日後、強盗団はダイヤを輸送していたトラックを襲撃するが、マークと銃撃戦になる。途中でトラックが宙に浮くという珍事件が起きる。強盗団が盗んだのはただの氷砂糖だった。実は、マークは世界ダイヤ保険協会のダイヤGメンであり、ダイヤと氷砂糖をすり替えていた。

 
宗方博士はダイヤ盗難事件や石炭舞い上がり事件が宇宙細胞の仕業だと発表する。この宇宙細胞は炭素分子をエネルギーとしているため、炭素分子から成るダイヤモンドや石炭などを食べていたのだ。いずれ、人間の生活にも影響が出ることは必至である。
宇宙細胞は「ドゴラ」と名付けられる。ドゴラは石炭産地であり、五市合併したばかりの北九州市を襲った。ドゴラは触手を伸ばして若戸大橋を海面に叩きつける。自衛隊は対空ミサイルを発射するが、ドゴラは小さな細胞に分裂してしまう。
しかし宗方博士の研究でジバチの毒を使ってドゴラを結晶化させることが可能になる。そしてジバチの毒を合成して大量生産し、地球上のドゴラは石化し、強盗団は降ってきたドゴラの結晶に潰されてしまう。
 

雑感

 
「日本は放射能の吹き溜り」、劇中で小泉博の吐いた名言だ。本当にいまだにそうだな。
ドゴラは空を舞う巨大な怪獣だが、形はミズクラゲのようなもの。着ぐるみではなく、当時出回り始めたソフビで作られており、金型は東京オリンピックの年に20万円したそうだ。

 
丘美丈二郎の原案ながら珍しく、刑事、宝石Gメンと強盗団の追いかけっこと、宇宙怪獣と科学者の対決の二重構造になっている。当時流行し始めた最新物理学の物性論を使っており、彼の映画原案の中で最も科学的だった。

ヒロインは藤山陽子だが、白川由美や水野久美と比べて、自己アピールが薄かった。
 

スタッフ・キャスト

 
監督 本多猪四郎
製作 田中友幸 、 田実泰良
原作 丘美丈二郎
脚色 関沢新一
撮影 小泉一
特技撮影 有川貞昌 、 富岡素敬
特技監督 円谷英二
音楽 伊福部昭

 
配役
駒井刑事 夏木陽介
マーク ダン・ユマ
宗方博士 中村伸郎
桐野 小泉博
桐野の妹昌代 藤山陽子
駒井の上司 田崎潤
同僚新田     船戸順
自衛隊岩佐 藤田進
ダイヤ強盗団首領 河津清三郎
浜子 若林映子
多田 田島義文
真木 天本英世

 

大怪獣ドゴラ Dogora, the Space Monster 1964 東宝作品

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