(☆)ダンサー出身の人気女優リタ・ヘイワースと「ジョルソン物語」で一躍スターダムにのしあがったラリー・パークスが主演したミュージカル映画
この作品は、1941年製作コロンビア映画「幽霊紐育を歩く」の続編(と言うか主演を男性から女性に変えただけの作品である)。

監督は前作に続いてアレキサンダー・ホール
主演はリタ・ヘイワースと「ジョルスン物語」で一躍スターになったラリー・パークスだ。
共演はエドワード・エヴェレット・ホートン、ジェームス・グリースン(以上は前作に続いての出演)、ローランド・カルバー

1980年のオリビア・ニュートン・ジョン主演の映画「ザナドゥ」のオリジナルは、この作品である。
テクニカラー映画。

ストーリー

女神テレプシコアは、地上で自分をモデルにしたミュージカルが製作されていると知って激怒する。天国の番人ジョーダン氏に許可をもらって、地上に降りキティ・ペンドルトンと名乗り、演出家ダニーに自らを主役テレプシコアに売り込む。ダニーはダンスを見てOKするが、キティは事務所はどこかと問われ、ちょうど役者を売り込みに来たマックス・マクコークル(「幽霊紐育を歩く」に登場)を自分のマネージャーにする。

軽薄なミュージカルで自分を描かれることが許さないキティは、ダニーを洗脳して、ギリシャ神話のような舞台に変えてしまう。しかし、舞台の出来は散々だった。ダニーは怒り、キティを切って元のタイプのミュージカルに戻す。

キティ(テレプシコア)は天界に帰ろうとするが、ジョーダン氏がダニーの過去の一場面を見せてくれる。そこでは、ギャンブルの胴元にダニーは、自分の命を賭けて舞台のための資金を出してもらっていた。舞台が失敗すると、ダニーは殺されるのだ。
キティは、ダニーを愛していたので、ミュージカルの主演に名乗りを上げる・・・。

雑感

前半はリタ・ヘイワースのダンスシーンが楽しい作品だったが、後半は一気に地味になってしまった。残念だ。まだリメイクの「ザナドゥ」の方が、カルト映画であるから好きだ。

リタ・ヘイワースは、「幽霊紐育を歩く」の二番煎じでしかない、この映画への出演を不満に思っていたようだ。この映画が盛り上がりに掛けたのは、その辺かも知れない。

当時イケメンでスターだったラリー・パークスは50年代に入ると、赤狩りに遭い共産党員だったことが暴露されて、一時芸能界から干されてしまった。それ以来、大きな役が回ってくることは、ほとんどなかった。(45)

ローランド・カルバーのジョーダン氏は、前作のクロード・レインズと比較すると、表情を硬くしてラストシーンの笑顔を際立たせていた。筆者はクロード・レインズの演技の方が好みである。

スタッフ

監督  アレクサンダー・ホール
脚本  エドウィン・ブラム、ドン・ハートマン
原作戯曲  ハリー・シーガル「It Was Like That」(1938)
製作  ドン・ハートマン
撮影  ルドルフ・メイト
音楽  ジョージ・ダニング、ハインツ・レンヘルド
作詞  ドリス・フィッシャー
ギリシャ・バレエ  マリオ・カステルヌオヴォ・テデスコ

 

キャスト

リタ・ヘイワース(歌:アニタ・エリス)  テルプシコル/キティ・ペンドルトン
ラリー・パークス(歌:ハル・ダーウィン)  ダニー・ミラー(演出家)
ローランド・カルバー  ジョーダン氏
ジェームス・グリースン  マクス・コークル(マネジャー)
エドワード・エヴェレット・ホートン  メッセンジャー7013番(天使)
アデル・ジェルゲンス  ジョージア・エヴァンス(テルプシコル役のライバル、歌:ケイ・スター
ウィリアム・ハード  スパイク
マーク・プラット  エディ(ダニーの友人)
キャサリン・オマリー  ドリー
アーサー・ブレイク  ナサニエル・サマセット

***

ニューヨークに帰ってからの公演は大成功を上げる。ところがジョーダン氏は天国に帰れと命令する。まだ公演が続くのに、主演女優がいなくなったら、彼の命が危ないというと、キティは言う。それに対して、ジョーダン氏はキティを倉庫街に連れていく。そこで、ギャンブルの胴元が仲間の抗争で撃たれて消された。もうダニーが殺される危険はなくなり、キティは地上に必要無くなったのだ。

キティ改めテレプシコアは、いやいや天国に帰るが、ジョーダン氏が気を利かせて、50年後の未来を見せてくれた。
50年経つと、ダニーも寿命が尽きて天国にやってくる。そこでテレプシコアが、飛行機に乗ろうとするダニーに声をかけると、ダニーは覚えてくれて二人は抱き合う。そして二人で飛行機に乗り込むのだ。

地上に降りた女神 Down To Earth (1947) コロンビア製作・配給 日本未公開

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