井出雅人と瀬川昌治が共同脚本を書き、瀬川昌治が監督したギャンブル・コメディ第一弾。
クレイジー・キャッツの谷啓が単独主演（他のメンバーは出演せず）。共演は進藤英太郎、伴淳三郎、白川由美。
シリーズ化され第三作まで作られた。
あらすじ
競馬通の河辺は、会社では役立たずのサラリーマンとして社長峯岸に睨まれていた。ある日、競馬場で出会った峯岸に馬の見方を教えて十六万円を儲けさせた。
その夜は二人でどんちゃん騒ぎをしたが、河辺の楊枝を削る横顔を見て峯岸は河辺が我が社のダメ・サラリーマンであることを思い出す。
峯岸は早速、河辺を秘書室に移動させ、競馬新聞等からデータの分析をさせる。河辺の妻で歯科医のみちえは禁じていた競馬でも河辺が出世してくれれば良いと考える。ちょうど近所に予想屋が越してきたので妻も予想をしてみる。
河辺は社長のためにコーチしていたが、人のために予想ばかりしていると次第に競馬熱が覚めてしまう。峯岸は大阪へ出張するため、三十万円を河辺に渡して大レースに一点買いを依頼した。それは大穴だったので当たらないと思った河辺はその金を全額仲間と飲んでしまった。
ところが峯岸の予想は的中し河辺は配当金五百万円の金策をしなければならなくなった。河辺は源三やみちえと次のレースの研究を始め、木曜日の第九レースに狙いをつけ、大穴を狙って二十万円を一点に投じる。結局一着三着に終わり、河辺は馬券を捨ててしまう。しかし二着の馬が進路妨害で失格となり、「1－4」が当たりとなった。
屑屋で紙の山から当り馬券を見つけた河辺は、峯岸が出張から帰ってきた日に無事五百万円を渡した。これ以来、河辺も峯岸ももう競馬はやめて社業に専念すると誓ったが、競馬場には相変らずレースに熱狂する二人の姿があった。
雑感
大井競馬場を舞台にしているが、昔はテレビでよくやっていた映画だ。最近はとんと見なくなった。しかしJRAなどの騎手が団結して、競馬だけは娯楽として残そうとしている努力に打たれて、久しぶりに見た。
もちろんいつ見ても面白い。初めて見た頃は競馬のルールがよくわからなかったが、今ではよく分かる。ちょうど自分が競馬に夢中になったのが、２年後ぐらいのアカネテンリュウの頃だった。この映画によってハードルが低くなったせいもあったろう。
主役の谷啓、進藤英太郎、伴淳三郎、白川由美だけでなく、脇役の大泉滉、小松政夫、小林稔侍、山城新伍、小川知子らも今から考えると若々しい。
さらにゲスト出演の大川慶次郎先生にはいろいろ学ばせてもらった。フジテレビから当時の中継アナ鳥居滋夫も登場する。ダービーで言えばメイズイから馬インフルエンザで開催が７月にずれ込んだロングエースまで中継した人だ。
スタッフ
製作 大川博
企画 吉峰甲子夫 、 吉田達
脚本 井手雅人 、 瀬川昌治
監督 瀬川昌治
撮影 山沢義一
音楽 木下忠司
キャスト
サラリーマン河辺春男 谷啓
妻・歯科医河辺みちえ 白川由美(東宝)
予想屋大田原源三 伴淳三郎
妻ふさ子 京塚昌子(東宝)
娘真弓 小川知子
弟子早川 山城新伍
亜細亜電機社長峯岸 進藤英太郎
河辺の後輩佐藤 大泉滉
後輩山崎 小林稔侍
後輩中村 小松正夫
黒田 村上不二夫
人事課長 杉義一
コーチ屋 三木のり平
コーチ屋の助手 南利明
(特別出演)
競馬評論家 大川慶次郎
競馬中継ゲスト 丹波哲郎
鳥居滋夫アナ 本人(フジテレビ)