テロリストによって北海油田の身代金を要求された英国政府を救うフロッグマン・チームの活躍を描く冒険映画
製作はエリオット・カストナー、監督はアンドリュー・V・マクラグレン、脚本はジャック・ディビス
主演はロジャー・ムーア、共演はジェームズ・メイスン、アンソニー・パーキンス、マイケル・パークス他。ビスタカラー映画。

あらすじ

スコットランドの城で怪しい潜水服を着た男たちが何か訓練をしている。彼らは海軍や特殊部隊上がりの猛者で、民間フロッグマンとして緊急事態に備えて訓練を欠かさないのだ。リーダーであるフォルクスは五人姉妹の下で育ったために女嫌いであり、猫を愛しスコッチをたしなみ、裁縫で気を休めるという風変りな男だった。フォルクスが副官に全てを任せて、トラッドに着替えてロイド保険に向かう。そこでは友人フレッチャーが出迎え、大きな仕事があると言う。北海油田に対して損害保険がかけられたので、事件が起きた時のため、フロッグマンを訓練してほしいと言うのだ。

数ヶ月後、ノルウェーの港から貨物船エスター号が北海に浮かぶ油井塔「ルース」と海上油田基地「ジェニファー」へ出航する直前に、7人の男が乗船を求めた。政府広報官ハーリングに率いられた海外報道関係者のクレイマー、ハロルドらだった。エスター号のオラフセン船長は彼らの乗船を許す。
しかし港を出ると、クレイマーらは船長に拳銃を向けて船を乗っ取る。「ルース」と「ジェニファー」に爆弾を仕掛け、英国政府に24時間以内に2500万ポンドを5ヵ国通貨で支払うよう要求した。まとまらない場合は彼らは「ルース」をまず爆破し、さらに4時間後に「ジェニファー」も爆破して、英国経済に大ダメージを与えるつもりだ。

女性首相はこの事件に頭を抱える。ロイド保険のことを教えられ、首相は海軍提督ブリンスデンを通してフォルクスに救援要請を出す。
フォルクスは五人姉妹の下で育ったために女嫌いであり、猫を愛し朝からスコッチをたしなみ、裁縫で気を休めるという風変りな男だったが

海軍大佐の扮装に身を包んだフォルクスはブリンスデン提督、ティッピング事務長とヘリに乗り込み、ジェニファーに向かう。そしてテロリストからジェニファーのキング主任に電話がかかってくる。クレイマーの焦る様子を感じて、フォルクスはまだ動かず待った方が良いと言う。その代わり、ルースの爆破命令を提督から海軍に出してほしいと提案する。

一方、“エスター号”の船員はテロリストに毒薬を盛ろうとするが、目敏いクレイマーに目撃されて逆に船員が毒を飲まされ殺される。
夜の八時になり、ルースは計画通り爆破される。テロリストは、爆弾処理班が失敗したと思った。その間を使ってフォルクスはクレイマー暗殺計画を提督らに伝える。他のテロリストもフォルクスの部下が潜水艇で接近してエスター号に乗り込み、皆殺しにするつもりだ。
フォルクスはブリンスデン、キング主任と“エスター号”にヘリで乗り込んだ。ここで予想外の事態が起きる。フォルクスがヘリでジェニファーに追い返されたのだ。首相に状況を訊かれたフォルクスは12時40分に爆弾を積んだヘリを飛ばして、41分に照明弾が打ち上がれば計画成功、打ち上がらなければ爆弾をエスター号に落とすべきだと提案し、首相も承認する。フォルクスは潜水着と照明弾を用意させて、エスターへ一人で向かう。一方、フォルクスの部下も続々とエスター号に近付いていた。近付いていた。

フォルクスがまず乗船したが、敵に見つかってしまう。しかし、たまたま救命ボートに隠れていたサナという女性が飛び出し背後から敵を殴り倒してしまう。フォルクスの部下も乗船し、見張りに立つ敵を一人ずつ消していく。
そしてクレイマーの指先が爆破ボタンに触れるだけで700名余りの人質と共に北海の油田基地が破壊されるという危機迫る瞬間、ブリンスデンがタバコをクレイマーに勧めた隙に、フォルクスはクレイマーを銛で刺し殺す。最後に残ったシュルマンが起爆装置に近付くやフォルクスの部下が左右から銛を胸に命中させる。

フォルクスに対し、屋敷まで出向いて首相が直接表彰することになるが、フォルクスが金銭や名誉を断ったため、白猫を3匹、エスター、ルース、ジェニファーと名付けてプレゼントした。

雑感

なかなかロジャー・ムーアの英国人らしいユーモアの利いた作品だった。日本でも人気が高い。

1973年から1985年まで三代目の「007ジェームズ・ボンド」を続けたロジャー・ムーアだが、それ以外にも単発戦争映画「ワイルド・ギース」「オフサイド7」「シーウルフ」と並んでこういう冒険映画を撮っている。007より、ロジャー・ムーアの良さが出ているのはこう言う映画だと思う。
英国人だから、一つのパズルを解くようにじっくり問題を解決するような映画の方が彼は好きなのではないか。その点、007映画はあっちへ行ったりこっちへ行ったり、女がいれば色目を使ったりと動きが複雑すぎる。

ここでは北海油田のテロ攻撃を予見して対策を立てていたロイド保険は先見の明があったが、コロナ禍では完全に出遅れているようだ。

テロリストとクレイマー(アンソニー・パーキンス)が言われて、「俺はテロリストのような気狂いじゃない」と切れていたが、やってることは国家に対する犯罪なのだから、完全にテロであろ。

1979年からサッチャー首相が就任していたので、早速設定も女性首相にしてある。

スタッフ

製作総指揮 モーゼス・ロスマン
製作 エリオット・カストナー
監督 アンドリュー・V・マクラグレン
脚本 ジャック・デイヴィス
撮影 トニー・アイミ
音楽 マイケル・J・ルイス

キャスト

フォークス    ロジャー・ムーア
ブリスデン提督  ジェームズ・メイソン
主犯クレイマー  アンソニー・パーキンス
副犯シュルマン    マイケル・パークス
ジェニファー主任キング      デイヴィッド・ヘディソン
オラフセン    ジャック・ワトソン
ロイド保険フレッチャー   ジョージ・ベイカー
ティッピング事務長   ジェレミー・クライド
ヘリング     デイヴィッド・ウッド
女性首相     フェイス・ブルック
サナ(勇敢な女性船員)       リー・ブロディー
サラ(キングの秘書)       ジェニファー・ヒラリー

 

 

 

北海ハイジャック North Sea Hijack Ffolkes 1979 英シネマ・セブン=ユニバーサル製作 CIC配給

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