(◎)クリスタ・ウィンスロー作の演劇脚本「昨日と今日」を映画監督のカール・フレーリッヒが製作総指揮を務め、女流舞台演出家レオンティーネ・ザーガンが初監督した学園映画。
白黒トーキー映画で、撮影はライマー・クンツェ、フランツ・ヴァイマイルが担当した。
主演はドロテア・ヴィーク、
共演はヘルタ・ティーレ、エレン・シュヴァネッケ、エミリア・ウンダである。
雑感
ナチスが政権を奪取する二年前に、ヒトラーら軍国主義者が台頭しワイマール共和政が崩壊間際となったドイツで、改めて自由主義を訴えた女性映画であり学園映画。
今でも、学校で学生が校長や校則に反発するドラマが数多く作られているが、その走りになった作品。
この映画の出演者は全部舞台女優であり、映画に初出演である。その割に、演技は重くなく、日本での舞台の映画化に見られるような舞台臭さもない。
東和商事の川喜多かしこは、この映画を新婚旅行中のドイツで観て買い付けした。奇しくもナチスが政権を取った1933年に日本で公開され大ヒットとなり、キネマ旬報ベストテンの第1位となった。
キャスト
ドロテア・ヴィーク フォン・ベルンブルク先生
エミリア・ウンダ オーベリン校長
ヘルタ・ティーレ マヌエラ・フォン・マインハルディス嬢
ヘドヴィク・シュリヒター フォン・ケステン
エレン・シュヴァネッケ イルゲ・フォン・ヴェストハーゲン
イルゼ・ヴィンター マルガ・フォン・ラッソ
シャーロッテ・ヴィットハウザー イルゼ・フォン・トライシュケ
エリカ・マーゴット・ビーブラッハ リリ・フォン・カットナー
スタッフ
監督:レオンティーネ・ザーガン
製作総指揮:カール・フレーリッヒ
製作:カール・フレーリッヒ、フリードリヒ・プフルークハウプト
脚本:クリスタ・ヴィンスロー、フリードリヒ・ダンマン
音楽:ハンソム・ミルデ=マイスナー
撮影:ライマー・クンツェ、フランツ・ヴァイマイル
ストーリー
ドイツ軍人の父と母を失った16歳のマヌエラは、後見人の伯母の意向で名門の寄宿舎学校に送られた。
この寄宿舎の目的は、栄えあるドイツ帝国のために強い母を育成することだった。生徒たちは、みな「制服」を着せられ厳しい規則に縛られていた。
しかし、生徒たちは、愛に飢え仲間との青春を楽しみたかった。彼女達にとっては、優しい女教師オーベリン・フォン・ベルンブルクの存在が唯一の救いだった。
マヌエラもフォン・ベルンブルクを慕った。それを、彼女は同性愛だと感じた。
オーベリンもマヌエラの恋心に戸惑いながらも、嬉しく思った・・・。
一年に一度の校内演劇会が来た。マヌエラは若い騎士に扮して最高の演技をした。その夜、少しの酒に酔った彼女は、フォン・ベルンブルクに対する気持ちをお客様の前で叫んだ。
それは寄宿舎には許しがたい暴挙だった。マヌエラは校長に監禁せられた。ちょうどそこへ皇帝夫人がお見えになり、マヌエラは元気でやっていますかとお聞きになった。校長は、マヌエラを退学にするわけに行かなくなった。
そうとも知らぬマヌエラは、先生と別れるくらいなら死んだ方がましと思い、高い階段から下の石畳をめがけて飛降りようとする。しかし、友人たちが一瞬早くマヌエラを救った。そして、自由をうたうオーベリンに軍国主義者の校長は敗れた。