エド・マクベインの原作小説「10 PLUS 1」をアメリカから仏ニースに舞台に移し、ライフルによる謎の連続殺人を追うキャレラの活躍を描くミステリ映画
監督と脚本はフィリップ・ラブロ
主演はジャン・ルイ・トランティニアン、共演は当時23歳のドミニク・サンダ、当時30歳のラウラ・アントネッリ

あらすじ

キャレラは昔馴染みのジョスリンと寄りを戻し、休暇を楽しく過ごした。しかし、警察に戻った途端に連続ライフル射殺事件が起きて忙しくなってしまう。
元の被害者フォレストと2番目の被害者バロワイエの間に一見して接点は無さそうだった。しかしどちらも占い師クラインバーグと協力して脱税をしていたという共通点が判明する。
また、深夜フォレストの義娘サンドラが、手掛かりをもたらした。浮気と無縁だと思われていた義父は、浮気相手の記録を取っておくほどの遊び人だったのだ。

翌日、クラインバーグ、さらにキャレラと一緒にいたジョスリンまでライフルで射殺されて被害者になる。銃撃戦となったが、犯人に逃げられた。残された手掛かりは犯人の血痕だ。

三日目、被害者4名の共通点が発見された。いずれもサンドラの行っている大学の出身者だったのだ。サンドラの協力で、8年前に彼らは「ジュリエット」という題の舞台演劇を上演していたことがわかる。出演者が一人ずつ殺されていたのだ。
サンドラのBFサーシャも当時の舞台に出演していた。彼はテレビの公開放送に出演中だったので、慌てて放送ストップを掛ける。
収録現場の清掃員が目を話したすきにライフル魔はゴミの中にライフルを隠して、警察の目を誤魔化す。清掃員はその後、絞殺されてしまい、ライフル魔事件との関連性は見過ごされてしまった。
パロンボ、エレーヌも出頭して、ジュリエットだけが行方不明だった。エレーヌの話によると、舞台当日の打ち上げの後、ジュリエットは男性陣に集団暴行されたのだ。

雑感

原作はエド・マクベインの警察小説「87分署」シリーズの一冊。
大都市ニューヨーク(原作ではアイソラ)の話をフランス映画だからと言ってパリではなく、温暖で別荘客だらけのニースに舞台を移すのは無謀と言える。リビエラやコート・ダジュールのような別荘地でまともな殺人事件捜査ができるのか?
フィリップ・ラブロの脚本も、フランスらしいアバウトなものだった。メリハリが感じられない。英米人なら、こんな脚本は却下だ。
原題「10+1」は、よく覚えていないが、「そして誰もいなくなった」の舞台に出演していた十人の役者が次々に殺されることを意味していたのではなかったか。しかしこの映画では、時間節約のためか、八人しか登場しない「ジュリエット」と言う架空の芝居を演じている。

ドミニク・サンダは、ベルナルト・ベルトルッチ監督のイタリア映画「暗殺の森」に出演した翌年の作品だ。両方ともジャン・ルイ・トランティニアンとの共演作だ。この映画では、犯人でも被害者でもなく、最後には消えてしまう。いかにも客寄せパンダ的な存在だ。脱ぎっぷりも良い。胸の小さなところが、日本の女性に人気のある理由だろう。
ジャン・ルイ・トランティニアンは、小柄なのでアクション映画はあまり向かない。

スタッフ

監督: フィリップ・ラブロ
製作: ジャック・E・ストラウス
原作: エド・マクベイン
脚本: フィリップ・ラブロ 、ジャック・ライズマン
撮影: ジャン・パンゼ
音楽: エンニオ・モリコーネ

キャスト

ジャン・ルイ・トランティニアン: キャレラ刑事
カルラ・グラヴィナ: ジョスリン・ロッカ(看護婦)
ラウラ・アントネッリ: ジュリエット・ヴァンドレイユ
ジャン・ピエール・マリエル: ペリー・ルパート・フート(画家)
ドミニク・サンダ: サンドラ・フォレスト
サーシャ・ディステル: ジュリアン・サビルヌ(サンドラのBF)
ステファン・オードラン: エレーヌ・ヴァレ
ポール・クローシェ: フランシス・パロンボ(舞台演出家)
エリヒ・セガル: ハンス・クラインバーグ(占い師)

 

ネタばれ(注意)

四日目、ジュリエットの夫フート氏が連絡してきた。彼のおかげでジュリエットを出頭させることになる。しかしキャレラに刑事の第六感が閃く。フート氏が銃撃してきたのだ。キャレラは拳銃の狙いを定めて二発撃ち込んだ。フート氏は即死だった。キャレラに一昨日撃たれた跡も出てきた。
キャレラは、ジョスリンが目の前で射殺された責任を取って警察を退職する。

 

 

 

刑事キャレラ/10+1の追撃 (Sans Mobile Apparent) 1971 シネテル+EIU製作 ヴァロリア・フィルム配給 MGM国内配給

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