ウィリアム.ホールデン主演の、巻き込まれ型スパイ映画。140分の長い映画だが、実話に基づいて丁寧に描いている。
共演はドイツ系ユダヤ人大女優リリー・パルマー(制服の処女)。
監督、脚本はジョージ・シートンが担当。
あらすじ
エリクソン氏は米国からスウェーデンに国籍を変えた石油商人。スウェーデンが中立国だったため、ナチス・ドイツと取引をしていた。そのことが新聞にすっぱ抜かれ、周囲から注目される。ユダヤ人の友人マックスとの関係も上手く行かない。そこへイギリス人のコリンズ氏が手を差し伸べる。実はコリンズは英国諜報部の人間で、エリクソンをスパイとしてスカウトに来た。戦争が終わったら、ブラックリストから名前は消す条件で、エリクソンは連合国に協力する。
エリクソンはドイツを訪問し、連合国のスパイと会って様々な情報をもらい、それをコリンズに伝えるのが仕事だ。初めはビジネスライクに仕事をしていたが、転機が来たのは美しいモレンドルフ夫人マリアンヌと出会ってからである。彼女ら誇り高き貴族は良心に従い、暴虐無人なナチスに抵抗していたのだ。エリクソンもそれ以来、正義のために諜報活動に熱を入れ始める。
しかし連合軍の空襲によりドイツの多くの子供たちの命が失われるに至って、彼女もスパイから降りたいと言い出す。結局、エリクソンもそれを受け入れて、彼女とは別れる。
ところがゲシュタポの捜査で彼女はスパイとして挙げられてしまい、エリクソンの目の前で銃殺に処される。
またハンブルグの彼の協力者であるホルツが急逝し、彼と交わした密約書を取り返さなければならなくなった。奥方の目を盗みホルツの部屋に入り込んで、書類を隠し場所から取り出すところをホルツの息子ハンスに見つかってしまい、ゲシュタポに追われる。
ドイツ国内の連合軍協力網を頼って、必死の思いで山を抜けてデンマークに逃げ、さらに船で命からがらスウェーデンに帰ってくる。港ではコリンズとマックスが待っていた。
雑感
おそらく実話中心なのだが、主人公はドイツへ行って浮気をしていたわけだから、奥さんと別れたんだろう。
先の読める、やや冗長な映画だった。実録ものとして、要点だけ広げて、全体としては1時間半ぐらいで撮れば良かったのに。
ユダヤ人スターのリリー・パルマ-が出演していながら、ドイツ人にやたらと同情的な点も不思議だった。
スタッフ・キャスト
監督・脚本 ジョージ・シートン
製作 ウィリアム・パールバーグ
撮影 ジャン・ブルゴワン
音楽 アルフレッド・ニューマン
配役
エリクソン ウィリアム・ホールデン
マリアンヌ・モレンドルフ リリー・パルマー
コリンズ ヒュー・グリフィス
クララ・ホルツ エリカ・ベーア
イングリッド・エリクソン エヴァ・ダールベック
ハンス ヘロ・グツバッヒャー