2004年01月20日(火) 
No.113
監督 成瀬巳喜男
 
出演 千葉早智子(君子)
   英百合子(妾の雪)
   丸山定夫(父)
   伊藤智子(母・歌人)
   大川平八郎(恋人)
   藤原釜足(叔父さん)
    
映画のタイトルは「妻よ薔薇のやうに」。
「二人妻」という新派の脚本(中野実原作)を成瀬巳喜男が監督・脚色した。
戦前の美人女優千葉早智子がモダンガールに扮して登場。
 

君子は、歌人として有名な母と二人暮らし。
父はいるが、妾と田舎にこもっていて二人の間には二人の子どもがいた。
母はある人から仲人をしてくれないかと言われる。
でも父が出席してくれるかどうか、わからない。
ある日、君子は父の姿を見かけ、きっと家に寄るだろうとごちそうをこさえて待った。しかしやってきたのは、叔父さんだった。
君子は自ら田舎に乗り込むことにした。そこは貧しい山家だった。父から送られてくる仕送りは、実は妾から送られていた。
君子は無理矢理に父を連れ帰るが、父と母は相変わらず会話がすれ違ってばかり。
それでも仲人は何とか済ませ、父は再び妾の元へ帰っていく。
奥で母は泣いているのだが、止めようとしない。君子は「お母さん、あなたの負けよ」と呟いて、父を送り出すのだった。

「噂の女」での千葉早智子は和装中心だったが、この映画のように洋装のほうが良い。
それほど美人ではないが、安心してみられる好感度の高い女優だ。
 

当時からキネ旬一位になるほど評価の高い映画だった。今見ても面白い。
芝居としてはパロディ精神横溢である。藤原釜足が下手な義太夫を詠じるところで手元のお銚子が揺れたり、鳥が暴れたりする。また親子三人でタクシーをヒッチハイク風に止めるところは「ある夜の出来事」だ。

 

二人妻~妻よ薔薇のやうに 1935 PCL

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