映画批評サイト Rotten Tomatoes でトマトメーター(批評家ポイント)が100点と言う玄人受けする、1952年のロデオ映画。 クロード・スタナシュの原作をデビッド・ドールトらの脚本チームとニコラス・レイ監督で映画化した。製作はジェリー・ウォルドとノーマン・クラスナ。主演はロバート・ミッチャム、共演はスーザン・ヘイワード、アーサー・ケネディ。
あらすじ
ジェフはかつてのロデオ世界チャンピオン。久しぶりに故郷に戻るが実家は競売により人手に渡っていた。そこで若い夫婦メリット夫妻と知り合う。ウェス・メリットは牧童だったがロデオ大会に出場したがっていた。ジェフがウェスを近所の大会に試しに出場させると、思わぬ好成績を挙げる。それに味を占めたウェスは妻ルイーズの止めるのも聞かず、仕事を辞め、ロデオを本業にする。ルイーズも牧場購入資金が貯まるまでという約束で付いていく。ジェフのサポートが的確でウェスは大きな大会でも新人の有望株に取り上げられ、次々と好成績を挙げ、貯金も牧場が買えるほどに貯まる。
ところがウェスは尊大になり、ジェフと夫に幻滅したルイーズを遠ざけ、毎夜パーティー三昧の生活に浸る。このときを待っていたジェフはルイーズにプロポーズするが、断られる。自分の老いを認めたくないジェフは久々にロデオ大会にエントリーするが、ブル・ライディング(暴れコブウシを乗り回す競技)で負傷して医務室に運び込まれる。あばら骨が肺に刺さりルイーズに抱かれて息を引き取る。
その様子を見たウェスは競技を続けることを断念し、ルイーズと共に競技場を去るのだった。
雑感
この映画はニコラス・レイ監督も晩年ニューヨークの映画学校の教材に使うほどお気に入りだったし、友人ヴィム・ヴェンダースも監督作品のベスト1に挙げている。
かつての英雄の反骨心と最期は、栄光に包まれている新人に恐ろしい現実を見せつける。まるで父に教えられた子が、父に逆らい、最期に父と妻を争うために戦場に出向く様を描いているようだ。
救いはスーザン・ヘイワードが心に傷を負いながらも幸せな牧場生活を送ってくれることだろう。
実際のロデオ会場での粗い映像、俳優とスタントマンによるロケーション、観客席のスタジオ収録を使い分けているが、スタジオ収録時もわざとピンボケにすることで、上手くロケ映像とスタジオ映像の違いを感じさせないようにしている。
この映画の成功の一因は、アーサー・ケネディの好演だ。夢見がちな面、野心家の面、小心者の面、ウェスの様々な面を見せてくれる。
一番好きなシーンは、ジェスが最後のコブウシ・ライディングにスタートするとき、前日ルイーズにキスしたうえウェスをぶん殴ったのに、ウェスはジェスに憧れの目を向け、ウェスはウィンクするシーン。その後、ウェスは新記録を立てながら、綱が鐙に絡んで亡くなってしまう。
1949年舞台「セールスマンの死」でトニー賞を受賞した新劇俳優は何をやらせても演技が上手すぎて、結局5度のアカデミー助演男優賞ノミネートにかかわらず一度も受賞できなかった。(ゴールデングローブ賞とNY批評家賞は受賞している)
スタッフ・キャスト
監督 ニコラス・レイ
助監督 ロバート・パリッシュ
製作 ジェリー・ウォルド, ノーマン・クラスナ
脚本 デビッド・ドールト, アルフレッド・ヘイズ, ホレス・マッコイ、アンドリュー・スコット他
原作 クロード・スタナシュ
撮影 リー・ガルムス
キャスト
スーザン・ヘイワード ルイーズ・メリット
ロバート・ミッチャム ジェフ・マクラウド
アーサー・ケネディ ウェス・メリット
アーサー・ハニカット ブッカー・デイビス
マリア・ハート ローズマリー
ローナ・タイヤー グレイス