上流階級の新婚夫婦が結婚早々から御手伝いさんで苦労する姿を面白おかしく描く英国映画。

 

結婚早々リチャードとケイト(マイケル・クレイグ、アン・ヘイウッド)の仕事は、社長であり寡夫の義父に代わり会社の接待を引き受けること。そのために住み込みの家政婦さんが必要になる。

まず白羽の矢が当てられたのはなじみのイタリア人コックの姪マリア(クラウディア・カルディナーレ)。ところがこの娘は男癖が悪く、新婚旅行の間に水兵たちを連れ込んで部屋を無茶苦茶にしたので初日に即刻解雇。

次は落ち着いた夫人ということで初老のローズマリー(ジョーン・ヒクソン)を選ぶ。料理の腕は確かだが、病気の姉のところへ行くと嘘を告げ酒場へ入り浸っている。ある夜、牧師を迎えた会食でグデングデンに酔ってしまいついにコンロから火事を出してしまう。

三番目はウェールズの純朴で小太りな田舎娘。でもロンドンまでの列車に酔ってしまいすぐ故郷へ帰ってしまう。
四番目は年金生活の老夫婦。実は大泥棒で、夫妻がパーティーで外出中に穴を掘り隣の銀行へ盗みに入って消えてしまう。

五番目はロンドンにあこがれるスウェーデンの垢抜けない女子大生イングリッド(ミレーヌ・ドモンジョ)。二人生まれたケイトの子供にも懐かれる。ところが都会生活に洗練されて日に日に美しくなり、ボーイフレンドたちから引く手あまた。イングリッド自身はリチャードに気があるが、ケイトは見て見ぬ振り。それがわかるだけにリチャードは手が出せない。やがてイングリッドはケイトの友人と結婚を決めるが、土壇場になって田舎のセルジュを愛していることに気づき、英国を去る。

六番目は何かと御世話になったお巡りさんが奥さんをもらい、コックになりたいというので家政婦として来てもらうことにした。

 

DVDの表紙にはフランス人女優ミレーヌ・ドモンジョの魅力的なアップが載っている。フランス映画だとあまり主役で見ないから新鮮だった。確かにこの映画でも際だって目立っていたが、彼女は半分過ぎたところから登場する。
この映画の主役はあくまで最初から最後まで出ずっぱりのマイケル・クレイグとアン・ヘイウッドである。

しかし最初からCC(クラウディア・カルディナーレ)を家政婦に起用するとは人を見る目があるキャスティングだ。同じ1959年にピエトロ・ジェルミのイタリア映画「刑事」の家政婦役で一躍スターになるのだが、英国はその話題性を利用したのかな。

さらにジョーン・ヒクソンがコメディエンヌとして出演しているのは魂消た。後に名探偵の初代ミス・マープルとして有名な女優さんになるが、アガサ・クリスティもこの映画を見たのだろうか?

何故か、主役の夫妻二人の発音があまり英国(BBC English)的には聞こえなかった。英国人の家政婦さんの方が、コックニーもあったが英国的だった。

 

監督 ラルフ・トーマス
脚色 フランク・ハーヴェイ
原作 ロナルド・スコット・ソーン
製作 ベティ・E・ボックス
撮影 アーネスト・スチュワード
音楽 フィリップ・グリーン

 

 
配役
マイケル・クレイグ(「唇からナイフ」)
アン・ヘイウッド
ミレーヌ・ドモンジョ(「悲しみよこんにちは」)
ジェームズ・ロバートソン・ジャスティス
クラウディア・カルディナーレ(「刑事」)
シドニー・ジェームズ
ジョーン・ヒクソン(BBCの「ミス・マープル」シリーズ第一期)

上と下 1959 英国 RKO

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