B級映画の帝王ロジャー・コーマンがスタンフォード大学卒業後、映画界に入って七年目に撮った映画。それまでも「金星人地球を征服」「巨大カニ怪獣の襲撃」「血のバケツ」と言ったB級〜C級映画を撮っていたが、この映画はエドガー・アラン・ポー原作の人気シリーズの前に上映されたカルト・ブラックコメディー。
いつのまにか人知れず人気となり、二十年後にオフ・ブロードウェイでミュージカルとして上演され、1986年にはフランク・オズ監督、リック・モラレス主演でミュージカル映画になってヒットした。

 

 

Synopsis:

 

舞台はスキッドローマシュニク花店。頭の弱い店員シーモアは失敗ばかりして、マシュニク店長にいつも叱られてばかり。そこで家で育てている食虫植物ハエジゴクを持って来て、お客さんにあっと言わせようと考える。ところが、愛しいオードリーに因んでオードリー・ジュニアと名付けたハエジゴクは元気がない。夜になってシーモアが指を切ると血をくれとオードリー・ジュニアは言う。切った指の血を花びらの真ん中に垂らすともっとくれと言う。仕方がないので他の指も切って血を分けてやった。
翌朝店に出ると、オードリーは大きくなっており街の人気者になっていた。店長は大喜びで自分を父と呼べと言う。
しかしオードリー・ジュニアは血の味を覚えて以来、ますます横柄になる。そして餌を持って来いと言う。シーモアがトボトボ餌を求めて線路沿いを歩いていると、驚いた老人が貨車に巻き込まれてバラバラになってしまう。その死体を集めてジュニアに食べさせてやる。その様子を見た店長はあの植物が何で急に大きくなったか悟る。

 

翌日虫歯が痛くなったシーモアは歯医者に行くが、喧嘩になってしまい、誤って歯医者を殺してしまう。さらに患者(ジャック・ニコルソン)が来てすぐ見てくれという。
その患者がマゾヒストだったので10本ほど抜いて誤魔化して、夜になって歯医者を丸ごとジュニアの餌にした。

 

 

 

さらに巨大化を始めたジュニアをマシュニク店長は苦々しく思っていたが、評議会から表彰されるとあって追い出すわけにも行かぬ。今晩はオードリーがシーモアの家を訪れ、初めて母と顔を合わす日だ。店長は夜の店番をしているが、強盗が入る。そこで金はジュニアの花の真ん中にあると言って、上手く誘導して強盗をジュニアに消化させる。

翌晩はシーモアとオードリーが金欠なのでお店でデートだ。ところがジュニアが「腹減った」とうるさい。オードリーはシーモアが言っていると勘違いしてしまって怒って帰ってしまう。シーモアは再び餌探しに夜の街へ出る。すると娼婦が付きまとい、やはりシーモアは誤って殺してしまう。ジュニアの餌になったことは言うまでもない。

また翌日の夕方、巨大になったジュニアが表彰される日でもある。しかし表彰されている最中にジュニアが騒ぎ出して、犯罪が明るみに出る。シーモアは逃げて逃げて追っ手を振り切るが、行くところもないので店に一人で戻り、ジュニアの腹の中へ入って行く。

店長が戻ってきたが、肝心の犯人がいないと思うと、ジュニアはシーモアを食ってシーモアの人面花を開かせた。

 

Impression:

 

残念ながら、1986年版映画を見てから1960年版映画を見ると、何が面白いのか、わからなくなる。どう見たって、出来の悪いテレビ・バラエティだ。撮影期間は丸二日だったそうだが、二日あればマルクス兄弟やエノケン、クレージー・キャッツならば、もう少しマシな作品を取れただろう。だいたい店長とオードリーの関係は親子なのか?
でもマゾ患者役でジャック・ニコルソンが出てくる辺りを見直すと、実は部分ごとに見ると、やっぱり面白かったのだ。主役が悪いのと編集がまずい。
要するに予算がなかったのだ。

 

 

 

Stuff/Cast:

 

監督 ロジャー・コーマン、チャールズ・B・グリフィス、メル・ウェルズ
脚本 チャールズ・B・グリフィス、ロジャー・コーマン
製作 ロジャー・コーマン
音楽 フレッド・カッツ、ロナルド・ステイン
撮影 アーチー・ダルゼル、ヴィリス・ラペニークス
編集 マーシャル・ネイラン・Jr

 

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出演
ジョナサン・ヘイズ: 花屋の店員シーモア・クレルボーン
ジャッキー・ジョセフ: 花屋の店員オードリー
メル・ウェルズ: 花屋の店長グラヴィス・マシュニク
ディック・ミラー: サドの歯医者バーソン・フォーチ
ジャック・ニコルソン: 歯医者にやって来たマゾ患者ウィルバー・フォース

 

リトル・ショップ・オブ・ホラーズ (The Little Shop of Horrors) 1960 フィルム・グループ(アメリカ) 

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