ニコル・キッドマン&ユアン・マクレガー主演による、斬新なジュークボックス・ミュージカル映画。
19世紀末のボヘミアン時代にパリのキャバレーであるムーランルージュで繰り広げられる、華やかなショーの世界を舞台に運命に翻弄される一組の男女の純愛を描くラブ・ストーリー。
監督はバズ・ラーマン。
共演ジム・ブロードベント、リチャード・ロクスバーグ。
あらすじ
作家はタイプライターを向かっていた。物語はクリスチャンの回想として語られる。
1899年、作家志望のクリスチャンはボヘミアン(自由な芸術を志す者たち)の大勢いるパリの下宿にやって来た。ムーラン・ルージュに雇われている劇作家オードリーと画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックたちが顔を合わせる。彼らは芝居の台本が間に合わないと困り果てている。クリスチャンは自作の歌は披露すると気に入られ、詩人としてロートレックの仲間に加わることになった。
ムーラン・ルージュは人気のキャバレーだったが、店主ジドラーはここを劇場に大きく作り変えようとしていた。一番人気の娼婦サティンは舞台女優として世界に羽ばたくのが夢である。そこで二人は常連ウースター公爵に出資してもらおうと考えていた。ウースター公爵はサティンにゾッコンで、今夜二人で会うことになっていた。
しかしサティンはたまたま店に来ていたクリスチャンを公爵だと勘違いして彼女の部屋に通される。クリスチャンは自作の歌を歌い出し、サティンは感動する。
ところが、本物の公爵が部屋にやって来る。サティンは公爵をごまかし部屋から追い出す。サティンは気を失ってしまいクリスチャンが抱きかかると、公爵が忘れ物を取りに戻ってきて怒りだす。目覚めたサティンが、芝居の稽古だと誤魔化し、舞台はインドで邪悪なマハラジャと我が身を差出し国を守ろうとする美しい高級娼婦、しかし高級娼婦はシタール奏者と恋に落ちてしまうというストーリーをクリスチャンは即席で創る。その夜、再びクリスチャンはサティンに会いに行き、二人は結ばれる。
公爵もサティンを我が物にしようとしていた。ジドラーに出資の代償としてサティンを自分専用娼婦にすることも契約する。公爵はサティンを何度も誘うが、稽古があると言って断られる。実はクリスチャンと会っていた。公爵はそれを知って怒ってしまう。困ったジドラーは、今夜公爵の夜伽に行くようにと命じる。
しかしサティンは吐血する。医者によるとサティンは結核であり助からぬとジドラーに宣告する。
サティンはクリスチャンとの関係を清算しよう告げる。クリスチャンは2人だけの秘密の愛の歌をラストに加えようと提案する。
サティンは公爵と夜伽するつもりだったが、クリスチャンの姿を見つけ、やはり逃げ出してしまう。再び怒った公爵はジドラーに、クリスチャンを殺すと警告する。
ジドラーはサティンに、クリスチャンが殺されると伝え、サティンの病名と余命を教えてしまう。サティンは絶望し、クリスチャンをムーラン・ルージュから追放する。クリスチャンはサティンにも何か理由があるはずだと、芝居当日ムーラン・ルージュに乗り込む計画を立てる。
芝居当日、ムーラン・ルージュは観客で満員だった。サティンの前に嫉妬に狂ったクリスチャンが現れ、ストーキングする。その様子を公爵は目撃し、用心棒にクリスチャン暗殺を命じる。
舞台裏のサティーンとクリスチャンは揉み合ううちに舞台上に出てくる。芝居はラストシーンだった。
クリスチャンが怒ってムーラン・ルージュから飛び出そうとすると、ロートレックが「この世で最も幸せなことは誰かを愛し、その人からも愛されること」と叫ぶ。
それを聞いたサティーンは愛の歌を歌い、クリスチャンも舞台に戻り、二人で歌いあげる。射殺しようとする用心棒や公爵をボヘミアンたちが殴り飛ばす。そして2人は愛を取り戻しフィナーレを迎える。
そのとき、サティーンが倒れてしまう。クリスチャンは吐血を見てサティーンが末期の結核だと知らされる。サティーンはクリスチャンに抱かれて死ぬ。
雑感
ヴェルディのオペラ「椿姫」、プッチーニの「ラ・ボエーム」をモデルにしたジュークボックス・ミュージカルである。
(ジュークボックス・ミュージカルとは、従来からある有名曲を使っているミュージカルを言う)
前半は「サウンド・オブ・ミュージック」やエルトン・ジョンの「ユア・ソング」などのハッピーな懐メロ中心で盛り上がるが、後半はサティンに死の影が近寄り、不安なメロディーも多くなる。はっきり言って、眠くなった。
ニコル・キッドマンもユアン・マクレガーも自分の声で歌っている。ユアン・マクレガーは甘くソフトな声、キッドマンは軽い声で悲劇の歌姫にしては少し弱いが、それも病気の故と考えれば許せる。
それよりも店主ジドラー役のジム・ブロードベントのバリトンが格好よかった。ジドラー、ロートレック、サティ、ショコラは実在の人物だ。
原色系のセットは派手だった。アカデミー衣装デザイン賞とアカデミー美術賞を受賞した。
スタッフ
監督 バズ・ラーマン
製作 マーティン・ブラウン 、 バズ・ラーマン 、 フレッド・バロン
脚本 バズ・ラーマン 、 クレイグ・ピアース
撮影 ドナルド・マッカルパイン
音楽 クレイグ・アームストロング
音楽監督 マリウス・デ・ヴリーズ
音楽監修 アントン・モンステッド
美術 キャサリン・マーティン (アカデミー賞受賞)
衣装デザイン キャサリン・マーティン 、 アンガス・ストラティー (アカデミー賞受賞)
振り付け ジョン・オコネル
キャスト
高級娼婦サティン ニコール・キッドマン
作家クリスチャン ユアン・マクレガー
画家トゥルーズ・ロートレック ジョン・レグイザモ
店主ハロルド・ジドラー ジム・ブロードベント
公爵 リチャード・ロクスバーグ
医師 ギャリー・マクドナルド
アルゼンチン人 ジャセック・コマン
音楽家サティー マシュー・ウィテット
マリー ケリー・ウォーカー
ニニ キャロライン・オコナー
オードリー デイヴィッド・ウェンハム
アラビア クリスティン・アヌー
チャイナ・ドール ナタリー・メンドーサ
モム・フロマージュ ララ・マルケイ
緑の妖精 カイリー・ミノーグ
黒人ショコラ デオビア・オパレイ