女性の背中から、ネイティブ・アメリカンの呪術師が復活する恐怖を描くオカルト映画。
原作はグラハム・マスタートンのホラー小説で、ウィリアム・ガードラーと卜ーマス・ポープが脚本化して、ウィリアム・ガードラーが監督した。製作総指揮はメルビン・G・ゴーディである。
主演はトニー・カーチス、スーザン・ストラスバーグ、マイケル・アンサラ。
共演はステラ・スティーブンス、ジョン・セダー、アン・サザーン、バージェス・メレディス。
パナビジョン・カラー映画。
あらすじ
サンスランシスコの病院をカレンという女性患者が訪れた。三日前から、彼女の首のうしろにコブが出来て、その腫瘍が時々動くという。
不安な彼女は、元彼のハリーに意見を求めた。二人は、介護を要する伯母のために別々の道を歩んでいた。その後ハリーは、インチキ心霊研究家として自宅で金持ちの夫人相手に占いをしていた。
久しぶりに再会したカレンと抱き合った夜、彼女は寝言で「パナ、ウィチィ・サリトウ」と叫ぶ。ハリーは、カレンに何物かが取り憑いているのではないかと言う疑いが拭えなかった。
大病院でカレンの腫瘍の切開手術が行なわれることになった。ヒューズ医師がメスを持った途端、彼のメスは自分の左手を切り刻んだ。カレンの背中の腫瘍が生存本能から、手術を邪魔しようとしているのだ。
ハリーはそこで、旧知の祈祷師アメリアをたずねる。彼女に依頼して、カレンにとりついている悪霊を払うためである。友人や伯母とテーブルを囲んで降霊術が始まる。と、突然テーブル上にネイティブアメリカンの首が浮び上がり、風が吹い込んで部屋は破壊された。
次にハリーは、民俗学のスノウ教授をたずねる。先生によれば、ネイティブ・アメリカンの祈祷師は死んでも何百年も後に再生すると言う。カレンにとりついている霊魂は、400年前のある祈祷師のものかもしれない。それと対話するには、同じネイティブ・アメリカンの祈祷師出なければいけない。
ハリーは、ようやくジョンという祈祷師に頼み込んで、サンフランシスコへ連れてきた・・・。
雑感
世間的には「エクソシスト」のパクリ扱いされている映画。
「グリズリー」で世界的に有名になったウィリアム・ガードラー監督の遺作でもある。次回作品をロケハンしているときに事故で亡くなった。
セックスしていないのに、子供が首の後ろから生まれるというアイデアは、「エクソシスト」と関係なく素晴らしい。
ただし、ラストで愛のマニトゥが、宇宙でミスカマカスと戦って勝つという展開には、付いていけなかった。少しぐらい基本知識を観客に与えるべきだ。
トニー・カーチスとスーザン・ストラスバーグという組み合わせ。オカルト映画で名優二人は意外だったが、当時のオカルト映画は、若手よりもハリウッド映画1950年から60年代に活躍して、78年にはとうが立ったベテランを起用することが多かった。ヒットはまず確実なので、俳優のギャラが良かったのだ。
スタッフ
製作総指揮 マーヴィン・G・ゴーディ
監督 ウィリアム・ガードラー
脚本 卜ーマス・ポープ
原作 グラハム・マスタートン
撮影 ミシェル・ユーゴー
音楽 ラロ・シフリン
特殊効果 ジーン・グリッグ
キャスト
スーザン・ストラスバーグ カレン・タンディ
トニー・カーティス ハリー・アースキン(インチキ祈祷師)
マイケル・アンサラ ジョン・シンギング・ロック(ネイティブアメリカン祈祷師)
ステラ・スティーヴンス(かつての美人女優) 祈祷師アメリア
ジョン・セダー ヒューズ医師
アン・サザーン カーン夫人(ハリーの診察中に自殺する)
バージェス・メレディス(「ロッキー」のミッキーコーチ) スノウ博士
***
カレンの切開手術を再び失敗して、彼女はベッドで眠っていた。
ジョンは、カレンのベッドの周囲に、魔除けの粉末を撒いて悪霊が外に出られないようにした。
カレンに陣痛が始まった。彼女の背中より、悪霊が誕生する。ジョンは「ミスマスカス」という名を聞いて愕然とした。悪霊の中でも最悪の祈祷師だった。
ミスカマカスがこの世に現われた。病院はパニックとなった。カレンのいるフロアは凍りつき、凍った看護婦の首がもげてしまった。ジョンが呼んだ大地、天、水、火の霊をもっても、ミスカマカスがことごとく退治した。
ハリーは諦めなかった。ミスカマカスを破るには、自然の霊力が駄目なら、コンピューターの霊力を使うのだ。病院のコンピュータのエネルギを集中させる。すると、電気エネルギーが、カレンの体に入り、病室は大宇宙に様変わりした。そして星のかなたにミスカマカスがおり、カレンはベッドの上にすわってハリーに対する愛のエネルギーを照射した。それが、愛のマニトゥを呼んだ。大宇宙の中で、愛のマニトゥとミスカマカスが戦っていた。ミスカマカスはやがて力尽きた。病院に平和がもどった。
しかし、ミスカマカスは、本当に滅んだのであろうか--?