シャーリー・ジャクソンの恐怖小説「山荘奇談」を映画化したロバート・ワイズ監督の「たたり」(1963)のリメイク作。
ディビッド・セルフの脚本をヤン・デ・ボンが監督した。SFXはフィル・ティペットとクレイグ・ヘイズ。音響はTHX。
出演はリリ・テイラー、共演はリーアム・ニーソン、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、オーウェン・ウィルソン。
あらすじ
ネルは、母の介護のために青春を犠牲にした。母の死後、姉夫婦によって実家から追い出される。そんなとき、タダで豪邸ヒル・ハウスに住めるという広告を見つける。
ヒル・ハウスは、100年も昔に資産家クレイン氏が建てたものだった。その後、家族が続々と亡くなり、不吉な噂と共に幽霊屋敷となった。
恐怖の実証的研究を専門とするマロー博士は、この屋敷に不眠症患者を集め、屋敷にまつわる怪談を教えて反応を調べる実験を行おうとしていた。被験者として、ネル、美女テオ、青年ルークがやってくる。
ネルは、最初の夜からラップ音など超常現象を体験する。やがて、ネルは子供の霊に誘われて、屋敷に隠された秘密を知る・・・。
雑感
名作映画「たたり」の原題は、「The Haunting of Hill House」だから、ヒル・ハウスという名称は、「ヘルハウス」の真似ではない。と言うより、「ヘルハウス」の方が、真似したのである。
ヤン・デ・ボン監督(製作総指揮を兼ねる)は、1963年「たたり」を安易にCGリメイクしようと考えた。監督した「スピード」「ツイスター」で儲けた金が多少残っていたのだろうが、主要出演者が四人とは言え、名優を揃えながらここまで内容を劣化させるとは、逆の意味で才能と言える。オスカー俳優リーアム・ニーソン、キャサリン・ゼタ=ジョーンズまで引っ張り出されたのだから、脚本は悪くなかったのだろう。CGが悪かったのだ。この映画は、CGのアニメ感を生かしてコメディ映画として撮影すべきだった。
ヤン・デ・ボンは、プロデューサーとして2002年にトム・クルーズによる「マイノリティ・リポート」を作っているのだが、それは他のプロデューサー(七人もいる)が優秀だったのだろう。
そういえば、この映画は2001年の「最’新’絶叫計画」や2003年の「ホーンテッド・マンション」でパロディにされて、特に後者はディズニーランドのアトラクションとなって、いまだに稼ぎ続けている。
ミア・ファロー(ローズマリーの赤ちゃん)とシシー・スペイセク(キャリー)は、特に美人でもないが、ホラー/スリラー映画で成功した大女優だと思っている。
リリ・テイラーもその線を狙ったはずだが、映画は大失敗に終わった。しかし、最近再びホラー映画に出演している。その意味では、ジェイミー・リー・カーティス(ハロウィン)の路線を踏襲していると言える。この映画では、リーアム・ニーソンとキャサリン・ゼタ=ジョーンズ、オーウェン・ウィルソンが序列三位までを占めて、リリ・テイラーは最後に名前が載る止め役である。
スタッフ
監督 ヤン・デ・ボン
製作 スーザン・アーノルド、ドナ・ロス、コリン・ウィルソン
脚本 デイヴイッド・セルフ
原作 シャーリー・ジャクソン 「山荘奇談」
撮影 カール・ウォルター・リンデンローブ
音楽 ジェリー・ゴールドスミス
キャスト
ネル(エレノア) リリ・テイラー
マロー博士 リーアム・ニーソン
テオ キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
ルーク オーウェン・ウィルソン
ダドリー氏(管理人) ブルース・ダーン
ダドリー夫人 マリアン・セルデス
ネタばれ
かつてクレイン氏は、自分の経営する工場から子供を次々と連れ帰り、弄んで殺していたのだ。その事実を知った妻キャロリンも犠牲になるが、死の直前に子供を産んでいてその子孫がネルだったのである。
その頃には、ポルターガイストをテオ、ルーク、マローは体験するようになる。クレインの亡霊が、彼らを殺そうとして襲いかかったのだ。
ネルが狙われ、失敗すると、ルークを生贄にする。ネルは、凶悪な亡霊と戦い、クレイン氏の亡霊を消し去り、子供たちの魂と共に昇天する。