潜水艦映画は数多くあれど爆笑できる映画はこれだろう。しかも実話に基づくエピソードが混ざっている。
よく似た1996年の「イン・ザ・ネイビー」は1959年「潜望鏡を上げろ」のパロディ。
監督はブレイク・エドワーズ、製作はロバート・アーサー。
主演はケイリー・グラントとトニー・カーティスの二人。共演はジョーン・オブライエン、「奥様は魔女」二代目ダーリンのディック・サージェント、アーサー・オコンネル。
あらすじ
シャーマン潜水艦司令部提督は廃船予定の潜水艦「シータイガー」に久々に乗船して、昔のことを昨日のように思い出すのだ。
真珠湾攻撃の後、マニラで被弾・大破した潜水艦「シータイガー」は廃棄処分になるところをシャーマン艦長の嘆願で見逃してもらえるが、自力で修理しなければならない。新たに補充された兵站将校ホールデンはデスクワーク出身だったが、物凄い技を持っていた。貧民窟から大富豪の娘の婚約者にまで出世した彼の能力は、口八丁手八丁だった。早速、軍の倉庫に忍び込んで部品を盗み出し、応急修理を済ませて日本軍の前に陥落寸前のマニラ島を離れる。
セブ島で補給するが、すでに日本軍に迫られていた。ホールデンは島から逃げ出したいという五人の美女将校を連れてきてしまった。その中には巨乳のドロレスや金髪のバーバラもいた。彼女らのおかげで、潜水艦の中は浮ついた気持ちになってしまい、事故が多発した。
途中の島でトイレットペーパーを補給しようとするが、米陸軍は日本軍との決戦を控えて補給を受け付けない。そこで再びホールデンが派遣される。ホールデンはカジノを借り切り、絶対に負けない仕掛けをして金を儲け、さらに金がない兵士には軍用品を売らせた。そのおかげで再塗装に必要なペンキが手に入る。新年を迎え、ホールデンが手に入れてきた豚を食べて盛り上がっていると、敵機が来襲した。まだピンクの下塗りの段階だったが仕方なく潜航した。
日本軍は東京ローズを使って、ピンクの潜水艦に降伏を呼び掛ける。しかしシータイガーの送信装置が壊れているため、米軍総司令部に連絡が取れない。逆に米軍駆逐艦に桃色の船体を発見され、国籍不明船として爆雷攻撃を受ける。そこでシャーマンはペチコート作戦を思い付く。それは女物の名前入りの下着を排出するのだ。海上でそれを発見してもらい、味方と分かってもらう。そしてシータイガーはガラパゴス諸島ダーウィン島基地にドッグ入りすることができた。
そこへ今は艦長になったホールデンが戻って来る。シャーマンは次期原子力潜水艦「シータイガー」の艦長がホールデンに決定したと告げる。そしてシータイガー最後の航海を今はホールデン夫人となったバーバラ、そしてシャーマン夫人となったドロレスとともに見送る。
雑感
この潜水艦は結局停まっているトラック一台を魚雷で撃っただけで、それ以外何の被害も日本軍に与えなかった。実はこの事件、日本の南大東島で起きたそうだ。壊されたのはトラックでなくバスだという。トイレットペーパー不足事件も、ビートルズもビックリのピンク・サブマリン事件も実際にあったと記録されている。
戦意高揚映画「目標は東京」以来二作目となる潜水艦長の役だったがケーリー・グラントはいつも以上にツッコミ役で、美味しいところは全てトニー・カーティスらに持って行かれている。本人は面白くなかっただろう。一方、提督役を引き受けなかったボブ・ホープは非常に残念がったそうだ。
ジョーン・オブライエンは胸の大きさで潜水艦の通路が狭くなるほどだったが、最初にティナ・ルイーズがオファーされていた。でも胸ばかり強調されているので断ったそうだ。ところがオブライエンはその後ジェリー・ルイスやエルヴィス・プレスリーとも共演し、最後はヒルトン・ホテルのオーナー一族の玉の輿に乗った。
ディック・サージェントとはケーリー・グラントと「ミンクの手ざわり」でも共演している。
ダイナ・メリルの役はトニー・カーティスと結ばれるが、1977年にテレビドラマ化されたとき娘のジェイミー・リー・カーティスが演じた。
スタッフ
監督 ブレイク・エドワーズ
製作 ロバート・アーサー
原作 ポール・キング 、 モーリス・リッチマン
脚色 スタンリー・シャピロ 、 モーリス・リッチマン
撮影 ラッセル・ハーラン
音楽 ジョセフ・ガーシェンソン
キャスト
シャーマン提督 ケイリー・グラント
ホールデン大尉 トニー・カーティス
トスティン機関長 アーサー・オコンネル
ドロレス ジョーン・オブライエン
バーバラ ダイナ・メリル
ヘイウッド少佐 ヴァージニア・グレッグ
モランフリー兵曹 ジーン・エヴァンス
ストヴォール少尉 ディック・サージェント
ヘイウッド少佐 ヴァージニア・グレッグ
ヘンダーソン大佐 ロバート・F・サイモン