45Ω94dB開放式ダイナミックヘッドホン。
今時の流れと逆行する低音型だ。とはいえDJ向けの重低音型ではないし、高音もよく出ているので、サウンドステージは広めに取られている音場型。余韻も十分感じられる。

満足度 4
デザイン 2
高域 3
中域 5
低域 5
音漏れ 3

デザインに重量も含めて評価している。460gと重めであり、上手く頭に乗せてバランスをとることができないと、聴いていて首が疲れる。幸い自分は平衡点を見つけた。
しかし寝ながら聴くのは無理だ。交響曲やオペラなど長時間聴きたいのだが、ちょっと難しい。

まずオペラから。ショルティの「ニーベルンゲンの指輪」全編を聞いたが、さすがに首が疲れた。ショルティの外連味たっぷりの演奏とブリギット・ニルソンらの歌劇を楽しめる。ボリュームはHDVA600で7時半ぐらい。これぐらいの方がステージとの距離感を感じることができる。ちなみにこの盤もハイレゾも、管弦楽志向の方のエイジングに向いている。

続いて低音歌手を選ぶ。フランク永井のベスト盤CDから、「有楽町で逢いましょう」
少し大きすぎると思って7時半に下げた。やはり低音歌手の方がしっくりと歌ってくれる。

次はソプラノ、森山良子ファースト・アルバムから「この広い野原いっぱい」。
7時半だと前列20番ぐらいか。もう少し歌手に近づきたければ、ボリュームを8時に変える。

ハイファイセットの「燃える秋」(作曲:武満徹)
このハーモニーは低くなったように聞こえる。

FOKiE の「アクエリアス」
ナイロンギターがベースのように聞こえる。女声ボーカルは野太く力強く聞こえた。全体として音が低くなったように感じ、安定性が増したように思った。

柳ジョージとレイニーウッド”Weeping in the Rain”
表題曲を聴く。この日本語曲が掛かっていた時期を覚えている。彼らが本格的にブレークした頃だ。ドラムもベースもしっかりしている。

ビル・エバンス「ヴィレッジヴァンガードの夜」スコット・ラファロ(b)はどんな録音でも大きく解像度も高く再現されている。

ジョン・コルトレーン「A Love Supreme」一曲目、5、60年代ごろのインスト・ジャズにこのヘッドホンは合う。Sennheiser HD650 より合う。

ボズ・スキャッグスのデビュー盤の一曲目。低音の解像度は高く問題ない。

ミニー・リパートン 「ラヴィン・ユー」
ハイレゾだが、最も変わり身を見せたかもしれない。
超高音が影響を受けるかと思って聞いたが、とても魅力的な音だった。

イーディ・ゴーメ「ギフト」
ハイレゾだが、良い再生装置のCDに負ける。あまり変わっていない。

ビヴァリー・ケニー「ライク・イエスタデイ」
ハイレゾだが、44.1kHz24bit だから僅かしか違いは聞き分けられない。

Eagles “Hotel California”
リズム隊が頑張っている。音もややしまって聞こえる。
少しスタジオ録音なのに余韻があると思う人もいる。嫌なら密閉式をどうぞ。

Pat Metheny 「METHENY MEHLDAU」から一曲目「Unrequited 」
ポップス系はボリュームを8時から8時半に上げて聞いている。ライブ感は少なくなるが、小人数音楽の場合は、音と一体化する方が楽しい。

総じて、古い音で広々としたクラシック大編成むき。しかしボーカルも良い。ジャズライブを柔らかいと思う人がいることは知っているが、私はこれぐらいで満足できる。ベースとドラムが締まっているとは言わない。でも他の密閉型ヘッドホンでももっとゆるく聞こえるのはあった。このヘッドホンで聞いても締まるわけではないが、決して緩くないのだ。ロックやフュージョンでリズムの速いものは合わないだろう。

ただし買ってすぐにこの音を出そうとしても無駄。二百時間以上のヘッドホンのエイジングとこのヘッドホンをつけての耳自体のエイジングをしましょう。

なお東北工場で本体仕上げを一人の方が手作りでやっている。従っ匠の技を使っているので、生産量が増えない。
価格は20万円を切ったが、おそらく部品の数も少なくったのだろう。

ヘッドホン Pioneer SE-Master 1

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