1947年にロサンゼルスで起きた有名な未解決女性猟奇殺人事件にインスパイアされて、ジェームズ・エルロイが書いたL.A.四部作第一弾の小説をジョシュ・フリードマンが大胆に脚色しブライアン・デ・パルマ監督がフィルム・ノワール化した作品。

主演はジョシュ・ハートネット
共演はアーロン・エッカート、スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンク

日本国内では、東宝東和の配給だった。

ストーリー

1946年ロサンジェルス、刑事のブライカートとリーは元ボクシングの選手。警察幹部から依頼されて試合を行い、警察予算引き上げのために一役買ったためそれぞれ昇格を果たす。二人の仲も良くなり、リーの立派な自宅でリーの恋人ケイと三人で食事をする、楽しい日々を過ごす。
バッキーとリーは、殺人犯ナッシュの潜伏先と考えられる場所を張り込む。偶然、そこで麻薬取引をしていた売人に銃撃され、あわやのところでバッキーはリーのおかげで助かる。
銃撃戦の巻き添えを食ってリーの友人のフィッチが死亡する。しかしナッシュは現れなかった。
実は麻薬取引を行っていたビルの裏で、体を真っ二つに切断された女性の死体が発見される。彼女の名前はエリザベス・ショートと言い、当時流行った映画のタイトルをもじって「ブラック・ダリア」事件とマスコミは呼ぶ。
リーは15歳の時に妹を殺されていて、ダリアも若い女性だったことから躍起になって犯人を追う。リーは,バッキーにも自撮りをするように命ずる。

バッキーは、聞き込みで一人の女性を見つける。逃げられるが、マッチの箱に車のナンバーと彼女の名前を書いておく。
彼女の名前はマデリンと言い、ハリウッドで住宅開発した、大富豪エメリットの娘だった。彼女は、レズビアン・バーでダリアとローナという女性と会っていた。マスコミには言わないでと頼み、見返りとしてマデリンはバッキーと一夜を共にする。
続いてバッキーは、ローナを見つけてる。ローナは、自分とダリアがレズビアンを演じるポルノ・フィルムを持っていた。検事補はつまらない物を見せられて怒り、リーとバッキーをブラック・ダリアの捜査から外す。
ナッシュが中国人一家を殺して犯して警官に射殺される。被害者に子供も含まれていてバッキーはリーをぶん殴る。彼はブラック・ダリアよりもナッシュを優先すべきだと主張していたのだ。

ケイの愛人だった銀行強盗犯デウィットが刑務所から出所する。デウィットが麻薬取引をする情報がリーに入る。ケイからその事を聞いたバッキーは現場に向かう。
リーはデウィットを殺すが、エメリットの友人のジョージとともにビルの一階まで何故か転落死する。麻薬取引相手のマフィアから警官が起こした殺人事件を表沙汰にしても誰も得にならぬと、二人の死体を闇に葬る提案をされ、バッキーはそれを呑む。そして上司には事後報告して了承される・・・。

 

雑感

ブライアン・デ・パルマ監督と主演ジョシュ・ハートネットフィルム・ノワール。原作のジェームズ・エルロイは、「LAコンフィデンシャル」(1997年映画化)の原作者でもある。
この小説は、古いタイプのハードボイルド小説である。別の事件を追っているようで、実は本筋の犯人を見つけてるという話。
大ヒットした次回作である「LAコンフィデンシャル」と比較すると、つまらないと思う。
命の恩人だと考えていた友人が裏切り者で、主人公は利用されていたに過ぎなかった。しかし、成り行きでこの友人が追っていた事件を追う羽目になる。

ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ヨハンソン、ヒラリー・スワンクと主演級俳優が4人も顔を揃えているのに、豪華さを感じない。
撮影も、LAの乾燥した空気を感じさせなかった。
原作を大きく改変した脚本だったが、これではない感が大きい。
やはり原作通りにリーの死亡をバッキーは知らなかったことにした法が良かったのではないか。
でも、当時のロスにあんな豪華なレズビアン・バーがあったとは知らなかった。(50)

 

スタッフ

監督  ブライアン・デ・パルマ
原作  ジェームズ・エルロイ
脚色  ジョシュ・フリードマン
撮影  ヴィルモス・ジグモンド
プロダクション・デザイン  ダンテ・フェレッテ
衣装  ジェニー・ビーヴァン
音楽  マーク・アイシャム

 

キャスト

ドワイト(バッキー)・ブライカート  ジョシュ・ハートネット
ケイ・レイク(リーの愛人)   スカーレット・ヨハンソン
リー・ブランチャード(バッキーの同僚)  アーロン・エッカート
マデリン・リンスコット(不動産王の娘)  ヒラリー・スワンク
エリザベス・ショート(被害者)  ミア・カーシュナー
ラス・ミラード  マイク・スター
ラモーナ・リンスコット(不動産王の妻)  フィオナ・ショウ
エリス・ロウ  パトリック・フィッシュラー
エメット・リンスコット(不動産王)  ジョン・カヴァナー
マーサ・リンスコット(不動産王の妻)  レイチェル・マイナー
ジョージィ・チルデン(不動産管理人)  ビル・フィンレー
ローナ(被害者の友人)  ジェミマ・ルーパー
ボビー・デウィット(ケイの前愛人)  リチャード・ブレイク

 

***

バッキーがケイにリーの事を報告すると、バッキーはケイと結ばれる。しかし、リーの自宅の浴槽のタイルを修理していたバッキーは大金を見つける。ケイに聞くと、リーはデウィットが銀行強盗をして得た金を横領していた。その事について、フィッチから脅されていたから、バッキーを騙して謀殺した。
バッキーは、ケイに対して怒り、マデリンの実家に逃げる。そして、マデリンの家でジョージの写真とピエロの絵を見て、バッキーはエメリットのモデル・ルームだと気付く。犯行現場に行くと、物的証拠を見つける。

バッキーは、エメリットとマデリンに事情を聞くと、マデリンの母ラモーナが自白する。マデリンはジョージとラモーナの子供で、エメリットがジョージの顔を傷つけていた。ラモーナは語った後、銃で自殺する。銃の暴発とマスコミには報じる。
バッキーは、マッチのメモ書きをリーが見ていた事に気づく。リーはすでに全てを知って、エメリットをゆすりだしたから、マデリンによって殺されたのだ。バッキーはマデリンを、射殺する。そしてケイの元に戻る。

ブラック・ダリア The Black Dahlia (2006) ミレニアム・フィルム製作 ユニバーサル配給

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