監督アンドレ・ユヌベル、主演ジャン・マレー、ヒロイン ミレーヌ・ドモンジョ他毎度のメンバーでお送りする三部作完結篇は、何とスコットランドの館物。しかし本格推理ではなく、やはりトンマなジューブ警視(ルイ・ド・フュネス)がやらかしてくれる。ファンドール対怪盗ファントマの対決の結末は?
 

あらすじ

 
ファントマは富裕層に対して生存権を保証する代わりに課税を始めた。スコットランドのラシュレー伯は仲間に声をかけてファントマに対抗する同盟を結成する。ファントマ専門家としてパリ警視庁のジューブ警視と部下のベルトラン、新聞記者のファンドールとエレーヌも招待される。しかしジューブ警視は初日から場違いな姿で登場する。またファントマにからかわれて、部屋に首吊り死体があったり、あげくにラシュレー伯が死体になってベッドに横たわっている。ジューブ警視は慌てて逃げ出すが、ラシュレー伯の死体はファントマの変装だった。ファントマは屋敷に入り込むと、ラシュレー伯を殺害し、自分はラシュレー伯になりすます。
催したキツネ狩りの最中にファントマの命を狙った秘書を殺すが、現場をエレーヌに見られてしまう。エレーヌは一味に捕まるが、ファンドールが無事救出し、死んだふりをして一旦身を隠し、ファントマを一挙に捕まえるつもりだ。
やがてファントマ扮するラシュレー伯が、ファントムをおびき出す餌として参加者の持っているダイヤを一まとめにする。そこへ乗り込んだのがファンドールとエレーヌだ。死んだはずの二人が現れ、不意を突かれたのはファントマ。あわや逮捕かと思ったが、ファンドールを遮ったのがいつものジューブ警視だ。お陰でファントマはミサイルに乗って城から脱出する。しかしスコットランドヤードも空軍と協力して、このミサイルを撃墜する。
ではファントマは死んだのか。いいえ、ミサイルに乗っていたのは影武者だったのだ。本物は自転車に乗ってダイヤの入った箱を運んでいく。
 

雑感

 
英国が愛する館物ミステリーを笑いものにするフランスの姿勢が楽しい。ニール・サイモン脚本の映画「名探偵登場」とはちがった意味で面白かった。
怪盗ファントマは、英国に行ってお宝を盗むんだから、フランス人は拍手喝采だろう。

 

ジャン・マレー(当時54才)も年を取り、ミレーヌ・ドモンジョ(当時32才)もお化粧が厚くなった。怪盗アクションはこれで引退だ。
コメディアンのルイ・ド・フュネス(53才)だけが、現役だった。この作品の主人公は彼と言っても良い。(彼はこの後、主演作が続き、1982年「ルイ・ド・フュネスの大奪還」を撮影して翌年亡くなる)

 
でもスコットランドヤードとスコットランド地方は関係ないんだが、フランス人は適当だな。スコットランド・ヤードはロンドン警視庁であり、スコットランド通りにあったからそう呼ばれるだけなのだ。普通はスコットランドで起きた大事件はエジンバラ警察の管轄だろう。
 

 

スタッフ・キャスト

 
監督 アンドレ・ユヌベル
原作 マルセル・アラン 、 エミール・スーベストル
脚色 ジャン・アラン 、 ピエール・フーコー
撮影 マルセル・グリニョン
音楽 ミシェル・マーニュ
 
配役
ファンドル/ファントマ(二役) ジャン・マレー
エレーヌ  ミレーヌ・ドモンジョ
ジューブ警視 ルイ・ド・フュネス
ラシュリー伯  ジャン・ロジェ・コーシモン
ベルトラン刑事 ジャック・ディナン
 

 

ファントマ/ミサイル作戦 Fantômas contre Scotland Yard 1967 フランス製作 ジャン・マレー版ファントマ三部作完結編

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