「第三の男」の監督キャロル・リードと脚本グレアム・グリーンが再びタッグを組んだ作品。舞台をギリシャから革命前夜のキューバに移している。出演はアレック・ギネス(戦場にかける橋)、モーリン・オハラ(わが谷は緑なりき)、アーニー・コヴァックス、パール・アイブズ、ノエル・カワード。白黒映画。
あらすじ
英国諜報機関にスカウトされたハバナ在住イギリス人家電商ウォーモルドは、嘘の報告を本国に送り小遣い稼ぎをしていたが、「キューバが巨大兵器を山中に建造中」という報告をイギリス本国はすっかり真に受けて、急遽敏腕スタッフのベアトリスたちを現地に送り込む。キューバ革命派も英国の動きに反応し、家電商の周囲の人物が次々と消されていく。
雑感
パルム・ドールを受賞した「第三の男」と違って、全体にユーモアがある。最終的にはハッピーエンドと言えるのだろう。アレック・ギネスはアカデミー主演男優賞を受賞してナイトの称号を得た後だが、飄々とした演技で表情を表さない。その辺りは英国の伝統でピーター・セラーズやローワン・アトキンソンに受け継がれている。
この作品が気に入っているのは、ひとえにモーリン・オハラのアラフォーの魅力である。1920年代生まれの英愛系女優はデボラ・カーといい、年を取っても変わらず美しい。
それからキューバといえば陽気な音楽と思いがちだが、革命前夜だけに暗いメロディーが多かった。単に監督の好みかも知れないが。
スタッフ・キャスト
監督・製作 キャロル・リード
原作・脚本 グレアム・グリーン
撮影 オズワルド・モリス
配役
家電商ウォーモルド アレック・ギネス
ハッセルバーガー医師 バール・アイヴス
女スパイベアトリス モーリン・オハラ
セグラ署長 アーニー・コバックス
ホーソン(59200) ノエル・カワード
C ラルフ・リチャードソン