監督:ジェラール・フィリップ/ヨリス・イヴェンス 
共演:ジャン・ヴィラール
リヒャルト・シュトラウスの交響詩にもなった、フランドルの昔話を題材に取った、カラー映画である。
フィリップ・ジェラール主演作で、唯一の監督作品は、世間で駄作と言われている。
しかし僕は興味深く見た。
だいたいどうして東ドイツが製作に参加したのか?
話は16世紀フェリペ2世のスペインが異端審問を行い反宗教改革の中心となった時代のこと。
スペインはカルヴァン派が多くなったフランドル地方に出兵して暴虐の限りを尽くす。
スペイン軍に父を殺されたティルはオレンジ公とともに反乱を起こす。

交響詩では、死刑になりながら、再び姿を現す。
映画では恋人と結ばれる場面で終わっている。
ブリューゲルの絵を再現するために、カラー映画にした。
派手な色遣いだ。
フランドルのウールは、今のカシミヤのような色だったのか。
カトリックに楯突く映画を作るとは、フランス人なのに勇気がある。
「赤と黒」だって反宗教だけど、これはジェラール・フィリップの哲学なのか。
彼の若すぎた死が、謎めいて来るなあ。
歴史では、フランドル地方は結局カトリックが再び支配して、ベルギーになった。
カルヴァン派は北のアムステルダムに亡命してネーデルランド共和国(今のオランダ王国)を作った。
オランダは宗教に関して自由な立場を取ったので、ユダヤ人が大勢移住してきて、17世紀の世界の金融の中心になった。

ティル・オイレンシュピーゲルの冒険 Les Aventures de Till L'Espiegle 1956 フランス・東独

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