DCコミックス「バットマン」に登場する悪役ジョーカーが誕生するまでの経緯が描かれている。ブルース・ウェインは、映画の時点でまだ幼くてバットマンは登場しない。

夭折したリバー・フェニックスの弟ホアキン・フェニックスが主演し、共演はロバート・デニーロ
トッド・フィリップスが監督・脚本を務める。

あらすじ

貧民アパートに住むアーサー・フレックはコメディアンを夢見ているピエロ。認知症を患う母親ペニーと2人で暮らしていた。
アーサーは脳神経の損傷から、緊張すると笑い発作が起きる。一方、母親は、毎日のように昔に仕えた富豪トーマス・ウェインに無心の手紙を書いていた。

ピエロの姿で宣伝をしている最中、不良集団にボコボコにされる。同僚のランドルが紙包に包んだ拳銃を差し出し、「これで身を守れ」と言った。
小児病棟で入院中の子供たち相手にアーサーはピエロの姿をして仕事をしていたが、拳銃を床に落としてしまう。病院が問題にして、チンドン屋はアーサーを解雇する。ランドルは自分が渡した拳銃であることを否定したため、アーサーは逆恨みする。

腹をたてたアーサーは、ピエロのまま地下鉄に乗る。トーマス・ウェインの証券会社で働く3人のエリート・ビジネスマンが社内で女性に絡んでいる。そこで笑いの発作が起きて、エリートたちの標的はアーサーに向けられる。彼らに暴行を受けたアーサーは、衝動的に拳銃で彼らを射殺する。その瞬間、アーサーは暴力に目覚めた。

アーサーは自信が湧いてきて、同じアパートのソフィーと愛し合い、自ら出演するコメディ・ショーに招待する。しかし、いざ自分の番になると、緊張で笑いの発作が治まらない。客は、すっかり白けてしまう。
ところがこのショーの様子が、トーク番組の司会者マレー・フランクリンの目に止まり、テレビで流される。さらに視聴者の興味を呼び、アーサーに番組への出演依頼が来る。もちろん、アーサーは快諾する。

ある日、アーサーは母が書いている手紙を見てしまう。そこには、アーサーがトーマス・ウェインの息子だと書いてあった。
アーサーは、真偽を確かめるためにウェイン邸へ行き、幼いブルース・ウェインを相手に手品を見せる。そこへ執事が現れ、アーサーが名乗ると、「おまえの母親はイカれてる」と言われて追い出される。
アーサーは、映画館に現れたトーマス・ウェインに近付く。トーマスは「自分は父親ではない、お前はあの母親にもらわれてきた養子だ」という。
アーサーは、病院へ行き母ペニーの入院記録を調べる。自分は養子であること、母の交際相手の男性がアーサーを虐待して脳に損傷を負わせるたが、母もその虐待を黙認していたことがを知る。
怒りにまかせてアーサーは、脳卒中で入院した義母ペニーの顔を枕で押さえ込んで窒息死させる。アーサーはソフィーの家に行くが、ソフィーはアーサーのことをほとんど知らなかった。その時アーサーは気付いた、ソフィーとの関係はすべてアーサーの妄想だと。

ゴッサム・シティの不良軍団は、エリート・サラリーマン三人を射殺したピエロを英雄視しはじめ、デモが行われていました。
そんなとき、マレー・フランクリン・ショー出演の日になった。
アーサーの自宅に、母ペニーのお悔やみを言いに、元同僚ランドルと小人症ゲイリーがやって来た。その場でアーサーはランドルの喉をハサミでかき切り殺した。病院で落とした拳銃を、実は自分が渡したものだと会社に言ってくれなかったからだ。社内で唯一の味方だったゲイルは逃がしてやった。

アーサーは、マレー・フランクリン・ショーの楽屋に現れた。マレーに、アーサーは「ジョーカーと呼んでくれ」と、生意気にも注文を付けた・・・。

雑感

映画「タクシー・ドライバー」+「ファイト・クラブ」のノリを感じた。ロバート・デニーロが出ているから、思いついたのだ。要するにオリジナリティを感じなかった。

ホアキン・フェニックスの演技は、アカデミー主演男優賞に相応しいものだった。ただ、漫画キャラクターである必要は感じなかった。オリジナル設定で脚本を書いていたら、もっと素晴らしいものだったろう。

 

スタッフ

監督  トッド・フィリップス
脚本  トッド・フィリップス、スコット・シルヴァー
原案  ボブ・ケイン、ビル・フィンガー、ジェリー・ロビンソン
製作  トッド・フィリップス、ブラッドリー・クーパー、エマ・ティリンガー・コスコフ
製作総指揮  マイケル・E・ウスラン、ウォルター・ハマダ、アーロン・L・ギルバート、ジョセフ・ガーナー、リチャード・バラッタ、ブルース・バーマン
音楽  ヒドゥル・グドナドッティル
撮影  ローレンス・シャー

キャスト

アーサー・フレック / ジョーカー  ホアキン・フェニックス
マレー・フランクリン  ロバート・デ・ニーロ
ソフィー・デュモンド  ザジー・ビーツ
ペニー・フレック  フランセス・コンロイ
トーマス・ウェイン  ブレット・カレン
テッド・マルコ  マーク・マロン
バーク刑事  シェー・ウィガム
ギャリティ刑事  ビル・キャンプ
同僚ランドル  グレン・フレシュラー
同僚ゲイリー  リー・ギル

 

ネタばれ

マレー・フランクリン・ショーのスタジオに拍手で迎えられたアーサーは、その場でエリート三人射殺の犯人は自分だと告白し、ジョーカーは拳銃を取り出すと、テレビの生放送中にマレーを射殺した。
街はこの騒ぎで騒然としており、あちこちからピエロのマスクを着た男たちが現れ始める。
ウェイン一家3人は混乱する街から逃げようとする。しかしピエロ・マスクの一人に捕まり、トーマスと妻マーサは射殺される。それを呆然と立ち尽くして見ているブルース・ウェインがいた。

ジョーカーは、警察に逮捕されるが、裁判のため病院に収容された。手錠をかけられて室内でカウンセリングを受けていたが、笑いの発作が出る。どうしたのかと聞かれたジョーカーは「面白いジョークが浮かんだ。理解されないが」と言う。
しばらくすると、ジョーカーは一人で部屋を出た。カウンセラーを殺害したのか、靴跡には血にまみれた足跡が残された。

 

ジョーカー Joker (2019) DCフィルムズ他製作 ワーナー・ブラザーズ配給

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