カンヌ国際映画祭審査員グランプリ受賞。子供の頃見たらトラウマになる映画の一つ。

 
第一次世界大戦で両手両足、目、鼻、口を失ってもなお15年も生き続けたカナダ将校が実在した事実を基にダルトン・トランボが原作、脚本、監督した名作。

 
主演ティモシー・ボトムズ、共演ジェイソン・ロバーズ(父)、ドナルド・サザーランド(キリスト)、キャシー・フィールズ(恋人キャリーン)、ダイアン・ヴァーシ(看護婦)。
 

 

あらすじ

 

 
避難した地点に大砲の爆弾がまともに当たり、兵士ジョーは両手両足さらに目鼻口を失うも、心臓は無傷で生き延びる。名も知らないまま診断した軍医は意識は戻らないと判断したが、実際は意識が戻っていた。ただどうやって意思を伝えるべきか分からなかったのだ。彼はそれ以来、恋人キャリーンと初めて夜を共にしたことや父の大切にしていた竿を無くした思い出に浸ったり、サーカスの見世物になる夢や神様の夢を見たりしていた。

 
病院の個室に閉じ込められていたが、ある日新しい看護婦がやって来る。彼女は優しい性格の持ち主で彼のことを哀れに思っていた。クリスマスの夜、彼女が胸に何かを書いている。何度か繰り返すうちにMの字だと気づき、わかった!とうなづく。すると彼女は次にE, R, R, Y, C, H, Rと続けて書いた。メリークリスマスだ!今日はクリスマスだったんだ!。そこで急にモールス信号で通信できることに気付いて、ジョーはSOSとうなづき始める。軍医がモールス信号の分かる将校を呼んでくると、二人は会話を始める。まず彼の希望を聞く。ジョーはサーカスで見世物になって生計を立てたいと言う。彼の姿を表沙汰にするとまずい軍医は、その願いを断り彼の名前を尋ねる。それには答えず、ジョーは死なせてくれと懇願する。軍医はこれ以上の質問は無意味と考え、部屋から出て行く。残された看護婦は酸素を送る管を一旦止めるが、軍医にバレて管は元に戻され、看護婦はクビになる。そして一人残されたジョーは誰も気付かないSOSを打ち続けるのだった。

雑感

 
サーカスの夢は白人もアジア人も関係なく見る集団的無意識らしい。
映画はベトナム戦争を意識したもの。赤狩りで服役までしたトランボ監督だが、懲りずに反戦映画を作ってくれた。
残念ながらアメリカ国内での興行収入は上がらなかったが、ヨーロッパで高い評価を得た。

 
これはよく出来た映画だが、実は1929年に書かれた江戸川乱歩の小説「芋虫」の方がえげつないのだ。視覚と触覚だけは残された将校がサディストの妻に目を潰される。さすがの妻は「ユルシテ」と指で描いて、許しを請うが・・・。
 

 

スタッフ・キャスト

 

監督 ダルトン・トランボ
製作 ブルース・キャンベル
原作 ダルトン・トランボ
脚本 ダルトン・トランボ
撮影 ジュールス・ブレンナー

 
配役
ジョー   ティモシー・ボトムズ
キャリーン  キャシー・フィールズ
キリスト  ドナルド・サザーランド
父     ジェイソン・ロバーズ
看護婦    ダイアン・ヴァーシ
 

ジョニーは戦場に行った Johnny Got His Gun 1971 アメリカ製作 シネメーション配給 ヘラルド国内配給

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