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中年の歯医者と若い愛人、さらに中年看護師が巻き起こす三角関係を描いたラブコメディ映画。
「アパートの鍵貸します」のI・A・L・ダイアモンドの脚本を、「おかしな二人」のジーン・サックスが監督している。
スタンダードサイズのテクニカラー映画で、撮影は「暗くなるまで待って」のチャールズ・ラング。音楽はクインシー・ジョーンズ。
主演は「おかしな二人」のウォルター・マッソーと「黄色いロールスロイス」のイングリッド・バーグマン。
共演は新鋭のゴールディ・ホーンでこの作品でアカデミー助演女優賞を得た。
共演はジャック・ウェストン、リック・レンツ、ヴィト・スコッティ。
雑感
フランス喜劇をブロードウェイで翻案した喜劇を、さらにニューヨークで映画化した作品。
少し、こじゃれた感じがする映画だ。
アメリカン・ニュー・シネマで全て占められたと思えた当時のアメリカ映画市場でも、このような保守的な作品が生き続けていたのだ。
若き日のゴールデイ・ホーンは美人ではないが、天才コメディエンヌだった。さらに彼女の個性は、11年先に生まれた踊り子出身のシャーリー・マクレーンとは全く違う。しかし、彼女に置き換わるパワーを持っている。
ゴールディ・ホーンは、シリアス・プレイもできるのだが、彼女自身はやる気がないようだ。
セルフ・プロデュースで自ら主演して一稼ぎして、もう働かなくても良いほど稼いでしまった。だから、最近はめっきり出演量が減っている。
しかし、もしどこかのプロデューサーが彼女の女優魂に火をつけることができたら、アカデミー主演女優賞を取るような円熟した名演技を見せてくれるだろう。
イングリッド・バーグマンは、前半やや引いた位置にいて後半になり俄然リーディング・ロールを主張し始める。途中のゴーゴー喫茶シーンでは、若い連中に混じってバーグマンもゴーゴーを踊り出すのは見ものである。
「サボテンの花」という題名は、ステファニー看護婦(イングリッド・バーグマン)のデスクの上に飾ってあったサボテンの花が映画のラストシーンで花を咲かせる意味がある。
男優では、いつものウォルター・マッソーよりも若き日のジェームス・スチュアートそっくりのリック・レンツに驚かされた。何故こんなに似てるのかw?
キャスト
イングリッド・バーグマン 中年の看護婦ステファニー
ウォルター・マッソー 歯科医ジュリアン
ゴールディ・ホーン レコード屋店員トニ
ジャック・ウェストン 患者ハーベイ
リック・レンツ トニの隣に住む劇作家イゴール
ヴィト・スコッティ 患者サンチェス
スタッフ
製作 M・J・フランコヴィッチ
監督 ジーン・サックス
原作戯曲 エイブ・バロウズ
脚本 I・A・L・ダイアモンド
撮影 チャールズ・ラング
音楽 クインシー・ジョーンズ
ストーリー
ジュリアン(ウォルター・マッソー)は独身中年歯科医で、ニューヨークに診療所を構えている。恋人のトニ(ゴールディ・ホーン)には、妻子があると嘘をつくほどの独身主義者だ。
そのため、世に絶望したトニは自殺をはかり、隣人の劇作家イゴール(リック・レンツ)に助けられる。ジュリアンは、トニの一途さに急に愛しくなり、プロポーズする。
しかし、トニが「奥さんと話をしたい」と言い出す。正直にジュリアンが嘘だったと話しても、嘘吐きが嫌いな彼女は許してくれない。そこでジュリアンは、看護婦ステファニー(イングリット・バーグマン)を妻に仕立てて、トニに会わせる・・・。
トニは戻ってくるが、奥さんはあなたにまだ未練があると言う。
そこで、「実は妻も浮気者だ」と彼女に告げた。そして、患者で親友のハーベイ(ジャック・ウェストン)をステファニーの浮気相手にして、ゴーゴー喫茶でダブルデートすることにした。
しかし、トニの疑いは晴れない。ジュリアンはミンクのストールをトニに贈るが、トニはそれはステファニーに贈ってしまった。少し前からジュリアンに男性を感じ始めていたステファニーは感激し、再びその夜、患者の1人サンチェス(ヴィト・スコッティ)とゴーゴー喫茶に踊りに行った。ジュリアンとトニもその場に現れ、一騒動がもちあがってしまう。とうとう、ステファニーはトニに真実(ジュリアンが独身であること)を教える。
翌朝、診療所に出て来たジュリアンは、ステファニーが全てを告白したことを知り、事もあろうかステファニーの方に求婚する。ステファニーは、信じられなかったが真実と知るやジュリアンにキスした。彼女のデスクには、サボテンが開花していた。