アラン・ラッド、ヴェロニカ・レイク主演の組み合わせ第二作目。
初共演の前作「拳銃貸します」と変わって、アラン・ラッドに色気が感じられる。一方ヴェロニカ・レイクは髪型を米国政府に「行員がヘアースタイルの真似をして機械に巻き込まれやすい」と注意されていたのでアップにするシーンもあったが、そうした時のヴェロニカはあまり美しくない。後半はピーカブー・ヘアースタイル(ウェーブのかかった髪が右目に掛かって見えない状態)に戻していた。その時のヴェロニカは文句なくファムファタールであった。

この映画で主人公の親友ポール・マドヴィックを政治家としたり政界の実力者としたり混同した解説がなされている。正解はわからないが、英語ではCrooked Political Bossと言っている。アメリカでは政治家と別にスポンサーや票を取りまとめる者がいるのが通常であり、ポールはこう言う立場のギャングのボスだったと考えられる。

原作はアメリカのハードボイルド作家ダシール・ハメットの長編第4作。映画の頃は共産党活動に熱心になり、陸軍に志願してアリューシャン諸島に派遣された。

州上院議員の座を争うヘンリー陣営にポール・マドヴィックが参加する。ポールがヘンリーの娘ジャネットに一目惚れしたからだ。親友でギャンブラーのエド・ボーモンはそれが気に入らない。ヘンリーが選挙に勝てばジャネットはポールを切ることに気づいたからだ。さらに彼女はボーモンを愛していた。しかしボーモンはポールへの義理からジャネットに冷たくする。
ヘンリーの息子テイラーはポールのライバルであるニックの賭博場に出入りして借金を作っていた。それについてポールは我関せずだが、テイラーがポールの妹オバールと付き合っているので、交際に反対する。
そんなある日、テイラーが自宅の近くで殺されているのをボーモンが発見する。ボーモンは証拠になりそうなものを消し去ってから通報する。ポールが関与している可能性を考えたのだ。ポールの家へ行ってその話をしても何ら驚く様子がない。やはり何か知っているようだ。検事局にポールが殺したという投書があった。しかしポールは否定しない。

ボーモンはポールを裏切ったふりをしてニック陣営に潜入し情報を得ようとする。彼は、ニックがポールを犯人に仕立て上げようとしているのを知るが、ニックにバレてしまい部下のジェフ拷問されるそれでもなんとか逃げ出し、ポールに知らせる。ニックは新聞社のマシューズと組んで、ポール犯人説をでっち上げようとしていた。ボーモンはマシューズ宅に乗り込み、新聞社の経営に行き詰まってニックの陰謀に加担したことを暴露し、マシューズを自殺に追い込む
それでも検事局はポールを逮捕してしまう。ボーモンにポールは自分が殺したと告白する。その目を見て誰かを庇っていると確信したボーモンは、検事局に情報を流しているのがジャネットであるを知り、検事局を丸め込みジャネットを自宅で逮捕させる。それを真犯人に見せつけてやるのだ。
事件終了後、ボーモンはニューヨークへ立つ準備をしている。そこへジャネットがやって来てボーモンについて行くと言う。そこへポールがやって来て、全てを察して身を引く。

一言で言ってアラン・ラッド美しすぎる実質主演二作目で魅力を爆発させている。ジェフにボコボコにされるところもカッコいいのだ。
それと比べてヴェロニカ・レイクは髪をアップにしたシーンと下ろしたシーンで落差が大きすぎて評価しにくい。

犯人探しとしては、ポールが誰かを庇っていることはボーモンにはすぐ分かるのだが、それが誰であるか証拠が全くない。そこで検事局を脅して囮作戦を考えつくのだ。今なら大したトリックと言えないが、書かれた1934年当時の推理小説では珍しかったのだろう。

製作 バディ・G・デシルヴァ
監督 スチュアート・ハイスラー
脚本 ジョナサン・ラティマー
原作 ダシール・ハメット
撮影 テオドール・シュパルクール
音楽 ヴィクター・ヤング
衣装 イーディス・ヘッド
配役
アラン・ラッド  (ボーモン)
ヴェロニカ・レイク  (ジャネット)
ブライアン・ドンレヴィ  (ポール)
ボニータ・グランヴィル  (オバール)
ウィリアム・ベンディックス  (ジェフ)
ジョセフ・カレイア  (ニック)
リチャード・デニング  (テイラー)
フランシス・ギフォード
ドナルド・マクブライド
マーガレット・ヘイズ
モローニ・オルセン

 

映画としては、トップクラスの俳優は出ていないし、監督や脚本もイマイチだが、それだからこそアラン・ラッドの美しさが引き立っている。アラン・ラッド映画だ。

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