東宝特撮「変身怪人シリーズ」の一作品なのだが、メロドラマでもあり、怖いもの見たさで見る映画でない。
監督は本多猪四郎、特技監督に円谷英二。主演は三橋達也、共演は先頃亡くなった八千草薫土屋嘉男
 

 

 

 

あらすじ

 
吉祥寺で銀行強盗が発生する。犯人の車が崖下に転落するが、犯人の死体はなかった。岡本刑事は春日流日本舞踊家元の屋敷に迷い込み、藤千代の美しい姿を目撃する。数日後、再び吉祥寺付近で銀行強盗が発生した。密室の金庫室から金が盗まれ、金庫番をしていた銀行員は窒息死していた。

金に困っていたはずの家元藤千代は大金を支払い、新作発表会の準備を始める。岡本は恋人の記者甲野といっしょに家元周辺を調査する。その結果、藤千代の持つ紙幣と事件で盗まれた紙幣のナンバーが一致していることが判明して、藤千代は逮捕される。

その後、警視庁に水野という図書館勤務の男が自首する。彼は最初の二回の事件の真犯人であることを証明すると言って、現場検証中に金庫室から脱出して消えてしまう。実は彼こそマッドサイエンティスト佐野博士によって改造された「ガス人間」の唯一の成功例だった。彼は愛する藤千代の発表会を実現させるために資金が必要だった。藤千代は水野にこれ以上の犯罪を行わないように頼むが、水野は聞き入れない。

警察は春日流の発表会に水野が現れると考え、会場内に可燃性ガスを充満させ爆発を起こす計画を考案する。発表会の最中、避難勧告を行うが藤千代と老鼓師が退避を拒んだため、二人も共犯と判断して起爆スイッチを起動する。ところが水野が事前に起爆装置を壊したため全く爆発しない。無事に藤千代は舞台を終え、ただ一人観客席に座っていた水野の許によっていき抱き合う。そのとき彼女は心中するため、隠し持っていたライターを使って、大爆発を起こす。燃え上がる会場から出てきた水野は、見る見るうちに黒焦げの焼死体となってしまうのだった。

 

 

雑感

 
原作はジョン・メレディス・ルーカスの「ガス人間」という作品。ジョンは後にスター・トレックの脚本家、プロデューサーになり、他にも「ベン・ケーシー」「逃亡者」のプロデューサーも務めた。彼はサイレント時代からの脚本家ベス・メレディス(「恋多き女」)の息子だが、彼女がマイケル・カーティス(「カサブランカ」)と再婚したため、マイケルの養子である。
それだけでもこれが由緒正しい娯楽作品だと分かるだろう。脚本家の木村武は、製作者田中友幸と同じ関西大学グループの一員であり、特撮ものを得意としたが、「マタンゴ」や「「ゴジラ対へドラ」のように味わいがある作品が多かった。
円谷英二にとっては液体から気体に変わっただけで「美女と液体人間」の延長線上の作品であったが、木村武がメロドラマ要素を採り入れた点が興味深い。もしそうでなかったら、プライドの高い八千草薫は出演しなかっただろう。

 

 

スタッフ・キャスト

 
監督 豊田四郎
製作 田中友幸
原作 ジョン・メレディス・ルーカス「ガス人間」翻訳:林房雄
脚色 木村武、八住利雄
撮影 三浦光雄
特殊技術   渡辺明 、 向山宏 、 城田正雄
特技監督 円谷英二
音楽 団伊玖磨
 
配役
岡本警部補 三橋達也
春日藤千代   八千草薫
ガス人間水野   土屋嘉男
甲野(婦人記者) 佐多契子
老鼓師   左卜全
田端警部   田島義文
藤田刑事   三島耕
稲尾刑事   小杉義男
警視庁幹部 佐々木孝丸
川崎記者   野村浩三
池田記者  松村達雄
葉山  山田巳之助
田宮博士   伊藤久哉
佐野博士   村上冬樹
 

 

ガス人間第一号 The Human Vapor 1960.12 東宝東京 八千草薫出演「変身人間シリーズ」第三弾

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