ドニー・イェンの「イップ・マン」シリーズとは全く異なる中国製イップ・マン。
監督はリ・リーミン。
主演はデニス・トー。
あらすじ
戦前の中国広東省仏山。地元マフィアである斧頭幇(フートウバン)の頭目サンイエが商人マイをアヘン密輸のかどで抹殺した。通報を受けたイップ・マン警部は、サンイエ逮捕のため屋敷に急行する。彼は、立ちはだかるサンイエの娘チン・チュアンと組員達を次々と倒す。サンイエは、仏山港でマイと共にアヘンを密輸した助手をその場で殺す。その密輸には、日本人貿易商がバックに付いていた。
イップ・マンは、サンイエを殺人容疑で逮捕し、警察まで連行する。イップ・マンの命令で、リビー警部補が倉庫を捜索すると、賄賂の現金が出てきた。そこへ仏山商会会長の佐々木が入って来て、リビーを買収する。
酔っ払いの老人がイップ・マンに留置場にいるサンイエが危ないことを知らせる。サンイエは殺し屋によって殺される。イップ・マンは、事件の責任を取って辞職する。
イップ・マンは、妻ウィンシンが産気づいたと聞き、帰宅する。そこには先程の老人がいた。頭目の仇討ちのために斧頭幇が一夫・マン宅に押し入るが、老人が撃退してくれる。ウィンシンは、男の子を出産する。老人は、イップ・マンの師匠である陳華順の弟弟子リョンだった。
やっと、仏山商会の荷からアヘンが見つかる。斧頭幇に佐々木会長がやって来る。彼が、サンイエを殺した犯人を雇ったのだ。チン・チュアンは、裏切った組員から命を狙われるが、イップ・マンが棒術で助けてともに逃げ去る。
イップ・マンたちは、自宅を離れてリョンの家にしばらく隠れることになる。イップ・マンは黒仮面を被って、仏山商会の施設に出没する・・・。
雑感
最近の中国らしく日本に対して敵意むき出しの映画だった。
中国人は、他民族に侵入されても、すぐには戦いはしない。その手下になった上で、機を見計らって逆襲するのだ。仏山警察の署長が、マフィアや日本軍に媚びへつらいながら、最後に裏切るのは中国人の理想的な姿なのだろう。
日本人には、そう言う器用さがない。だから、一億玉砕になって「沖縄の悲劇」を産んでしまう。
アクション・シーンは、香港のものと比べると、殺陣として面白みがない。正確なのだが、動きがスローだ。早回しにすればいいだけなのだが。
イップ・マンは「詠春拳」を会得し、若き日のブルース・リーの師匠になる実在の人物である。
たしかに国民党政府の元で警察官僚だったが、共産党が革命で政権を握ってからは香港に亡命した。旧香港ならまだしも、中国が偉人として扱うのは非常に違和感を感ずる。
中国製のカンフー映画を見るものではないな。
スタッフ
監督 リ・リーミン
脚本 リ・リーミン、シー・キンシュイ
製作 ジョウ・ユー
撮影 グオ・レイ
アクション指導 スン・フェイ
キャスト
イップ・マン(葉問) デニス・トー
チンチュアン(晴川) ユアン・リー・ルオシン
リョン / チャオ・ウー(喬五) ユエ・トンフェン
サンイエ(三爺) マイケル・ウォン
ウィンシン(張永成) チャン・チンユェン
ユエン署長(袁局長) トン・シャオフー
佐々木会長(佐会長) 趙曉光
徳川少佐(徳川一龍) レン・ユー
リビー警部補(排骨仔) 李日助
***
大日本帝国陸軍の徳川少佐が仏山で中日武術交流会を開くことになる。サンイエの葬儀前夜、イップ・マンはリョンと酒を飲む。翌朝イップ・マンが起きると、既にリョンは葬儀に向かっていた。佐々木たちは、大東亜の平和を妨害した罪として、棺桶に入ったサンイエの死刑を執行しようとしていた。それを黒仮面を付けたリョンが現れて阻止する。リョンは棺を背負ってまま戦ったので、徳川に倒され日本兵に銃殺される。
イップ・マンは、黒仮面として武術交流会に出場し、リョンの仇である徳川を倒す。そして、民衆がリングに上がってイップ・マンを守り、仏山警察も日本陸軍を包囲する。
佐々木は、徳川まで毒殺するが、チン・チュアンによって復讐される。